男子は14年ソチ・オリンピック(五輪)団体銅メダルメンバーの清水礼留飛(25=雪印メグミルク)が5季ぶり2度目の優勝を飾った。ソチ五輪後はワールドカップ(W杯)代表メンバーに入れず、18年平昌(ピョンチャン)五輪は2大会連続出場を逃した。昨年末に父久之さん(58)からの“喝”で気合を入れ直し。自身4季ぶりとなる復活Vにつなげた。

派手なガッツポーズが苦闘ぶりを物語っていた。首位で迎えた清水の2回目。88メートルを飛び、勝利を確信すると、ランディングバーンの途中から何度も両腕を突き上げた。今大会5季ぶり、自身4季ぶりの優勝に「放心状態。今までで一番うれしいかもしれない。頑張ってきて良かった」と笑顔がはじけた。

目前しか見なかった。これまで試合では周囲の成績や風を気にしすぎていた。だが「今日はシャットアウトして自分の世界に入れた」。1回目は最長不倒の91・5メートルをマーク、2回目も88メートルと2本そろえ、合計223点。「どちらも今できる精いっぱいのジャンプ。大満足です」と振り返った。

どん底だった。ソチ五輪では団体で銅メダルを獲得したがその後は調子が上がらなかった。W杯代表からも外れ「大好きなジャンプ台に行きたくなかった」という時期もあった。だが平昌五輪明けのシーズンに「これではダメ」と立ち直った。昨秋から自身のフォームの映像を「何十回も何百回も」と見直して修正。高さよりも低く飛び出すスタイルに変えて勝負している。

家族の“喝”も効いた。国体に42年連続出場中で、指導者でもある父久之さんが昨年12月、地元新潟から札幌まで訪れた。大会観戦のはずが雪不足で中止。自宅で一日中、ジャンプについて語り合った。「お前はちゃんと研究しているのか」。いろんな言葉を数枚のメモに書き留め、その後名寄での練習に生かして手応えをつかんだ。「大切な時間だった」と感謝した。

今後は国内の選考を経てW杯札幌大会(26、27日)の出場を狙う。「日本のトップまで上がってこれた。僕にしかできないジャンプで世界に戻りたい」。メダリストは力強く、再び世界で戦うことを誓った。【西塚祐司】