白血病を公表した競泳女子、池江璃花子(18=ルネサンス)が得意とする種目、100メートルバタフライで、昨夏の日本代表の相馬あい(21=中京大)が優勝を飾った。

同種目では池江に次ぐ存在。4月の日本選手権の前哨戦で実力を発揮した。自己ベスト58秒03は池江の日本記録に約2秒及ばないが、リレー種目で20年東京オリンピック(五輪)の出場枠がかかる7月の世界選手権韓国大会での奮闘を誓った。

電光掲示の「池江璃花子」の欄はDNS(スタートせず)の表示だった。優勝した相馬に笑顔はない。「100メートルバタフライは誰にも譲らないという気持ちで泳いでいる。1番取って当たり前というわけではないけど、取らないといけない立場だと思っています」。自分に言い聞かせるように、厳しい言葉が真っ先に出た。

最高のスタートを切って27秒54で折り返すと、1度もトップを譲らないままゴールした。それでもレース展開には満足できなかった。「後半もう少し攻めたかった。自分の弱いところが出ました。27秒1で入る予定だったんですけど」とまたも肩を落とした。厳しい自己評価は、自分の役割を自覚するからだ。

昨夏のパンパシフィック選手権で、主要国際大会初の代表入り。同種目を本命とし、リレー種目の東京五輪出場枠がかかる世界選手権では、池江が得意とするバタフライでの活躍が期待される。だからこそ「去年のアジア大会で池江選手がしっかり泳いでる姿を見て私も頑張りたいと思った。日本チームに貢献できるようにもっともっと強くなりたい」。日本代表のリレーに懸ける思いは強い。

同選手権代表選考を兼ねた日本選手権は譲れないが、目標はもっと先にある。自己ベストは58秒03で、池江の日本記録56秒08とは差がある。「世界選手権で56秒台を出したいと思っている。そのために今はトレーニングしている。あと1カ月でもっとつめたい」。現役日本選手で唯一、56秒台の池江を追いかける。【佐々木隆史】

○…会場2階の入り口には、池江への寄せ書き用の大きな白い布(縦90センチ、横180センチ)が3枚用意された。選手やファンら約500人が、思い思いにペンを走らせた。大会会長を務める株式会社コナミスポーツクラブの落合昭社長(58)は「池江選手には、いつも参加していただき素晴らしい成績を残していただいた。1日でも早く元気になることを心から願っております」と話した。寄せ書き用の布は17日も用意され、大会後に池江側に届けられる予定になっている。