21年ぶりに自力でのW杯出場を決めたバスケットボールの男子日本代表が25日、成田空港着の航空機で帰国し、大歓声に包まれた。今後は3月末の国際バスケットボール連盟(FIBA)中央理事会で20年東京五輪開催国枠が認められる見通し。W杯、東京五輪と新ステージに進む日本には、海外で修行を積む若手も多い。カナダ人の父と日本人の母を持つ米ノースカロライナ大ウィルミントン校で活躍するテーブス海(21)も期待の新鋭。海外組の加入が日本代表をさらなる高みへ押し上げる。

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W杯出場を決め、夜明けを迎えた「アカツキファイブ」が凱旋(がいせん)帰国した。

直後の会見では主将の篠山が「世界を驚かせたい」と言えば、司令塔としてけん引した富樫が「世界で戦うことができる楽しみしかない」と前向きな言葉が続いた。空港では黄色い声が響くなど、4連敗中だった1年前には想像できないような、一様に晴れがましい顔が並んだ。

24日のアジア2次予選、カタールとの最終戦では、12人中11人が得点を挙げ、96ー48のダブルスコアの大勝でW杯出場を決めたが、まだまだのびしろはある。日本バスケの歴史に残る、劇的なW杯を決めるまでの同予選を振り返っても、富樫は「まだこの予選ではできなかった」と満足していない。

世界の舞台で戦う上で、日本には米国で活躍する期待の新鋭も控えている。米ノースカロライナ大ウィルミントン校でプレーする188センチの司令塔、テーブス海(かい、21)。現女子Wリーグ富士通の監督を務める、カナダ人のBTテーブス氏を父に持つ。NCAA1部で、1年生ながら今季は1試合を除いて先発入りし、18年ウイリアム・ジョーンズ杯では日本代表に選ばれた。NBA入りの呼び声も高まっている。

日本代表のラマス監督も「今後の代表候補に入ってくる」と前向き。12月のカタール戦では富樫のけがにより、田中大貴が司令塔をこなした場面もあり、身長のある司令塔がコートに立つ時間で守備面でのレベルアップの選択肢を得た。テーブスのような大型司令塔がゲームを作ることで、戦略の選択肢も増える。富樫は「ポイントガードでアメリカで活躍している選手は、すごくうれしい。今後代表で勝つためには必要な選手。一緒にやれれば楽しみ」と話した。

渡辺、八村だけではなく、若手も海外で修行を積んでいる。将来的な引き出しも豊富な男子日本代表は、W杯、東京五輪に歩みを進める。世界の扉をこじ開けた日本は、新たなステージに進む。【戸田月菜】