ショートプログラム(SP)2位につけていた全日本女王の坂本花織(18=シスメックス)は、SPに続く自己ベスト更新の145・97点、合計222・83点で初出場の舞台を終えた。

冒頭の3回転フリップ-3回転トーループを伸びやかに決めると、ダブルアクセル(2回転半ジャンプ)、3回転ルッツでも加点を得た。後半に入って3連続ジャンプも成功させたが、連続技を予定していた3回転フリップが1回転となる失敗。完璧な演技は逃したが、映画「ピアノレッスン」の調べに乗せた大きな滑りは観客のスタンディングオベーションを呼び込み、フィニッシュでは喜びと悔しさが混じり合うような表情を見せた。

21日のショートプログラム(SP)は自己ベストの76・86点で2位発進。平昌五輪金メダルの首位ザギトワに5・22点差につけた。フリーの出来次第で頂点も見える好位置だった。しかし坂本は「点数の前に自分に勝てた」と表現した。

2月の4大陸選手権。SP2位の好位置につけたが、フリーでミスが出て4位に沈み号泣。リンクの上で中野コーチと話し合った。

「(昨年12月のGP)ファイナルの時も4位で『自分が表彰式にいきたかった』といったら『本当に悔しくないから、そう思えるんだ』って言われた。その時はそんなことないと思ったけど、今回は本当に悔しくて。表彰式を見にいけなくて『これでファイナルの時にいっていたことが分かったでしょ』って言われて」

悔しさと同時に気がついたのは、演技に入る前の気持ちだった。昨年12月に初優勝した全日本選手権は「やるべきことをやろうとしか思っていなかったから伸び伸びできた」。だが4大陸選手権は違った。「相手に勝つと意識してしまった。それを考えずに、まず自分に勝てるようにして、世界選手権は思い切っていけたらいい」。

鍵は自分の心の中にある。そのことを肝に銘じて臨んだフリーだった。