日本バスケットボール協会は11日、昨年のジャカルタ・アジア大会の期間中に不適切な行為があったとして、1年間の公式戦出場停止を科した当時の日本代表(行為後資格剥奪)、B1新潟アルビレックスBBの今村佳太(23)ら4選手の処分解除を発表した。

それを受けて今村は同日、新潟の小菅学社長(45)とともに長岡市のクラブ事務所で会見を行った。あらためて事件について謝罪をするとともに、真摯(しんし)にバスケットと向き合うことを誓った。処分解除に伴い、規定上は次節川崎戦(13、14日・等々力アリーナ)への出場が可能になった。

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今村は神妙な面持ちで報道陣の前に立った。「私の不祥事によって、皆さまに多大なるご迷惑をおかけしましたことを、深くおわび申し上げます」。深々と頭を下げた後、述べたのは感謝だった。「今回の復権にご尽力いただいた日本協会、裁定委員会の皆さま、アルビレックスに関わるすべての皆さまに心から感謝を申し上げます」。

処分は昨年8月29日から1年間の公式戦出場停止だったが、約7カ月半で解除。処分期間中、今村は社会奉仕活動などに取り組んできた。B1新潟が練習で使用しているアオーレ長岡、中之島体育館のフロアの清掃を毎週月曜日から金曜日に1人で行った。処分期間中も練習参加は認められており、木曜日はチーム練習後にB1新潟の下部組織のスクール生を指導した。ホーム戦では、会場の設営と撤収、試合時の入場チケットのもぎりや、グッズ販売を担当した。

「クラブ関係者の皆さんや支えてくださっている方々のおかげで、自分はバスケができているということをあらためて感じました」。処分解除後も、体育館清掃、スクール指導は「続けていく」と言う。今村の活動内容は月次報告でリーグに上げられていた。小菅社長は「真摯(しんし)に、謙虚に行っていたことを認めていただいたのだと思う」と、短期間での解除にクラブとしての感謝の意を示した。今村は「賛否あると思います。さまざまなご意見をいただきながら、恩返しをしていきたいです」と話す。

新潟は川崎戦で1勝すれば、初の地区優勝が決まる。小菅社長は「試合に出られるという形ができた段階」と、今村の川崎戦出場は明言しなかった。同時に「現場が戦力として判断したのなら可能性はある」。庄司和広監督(44)らスタッフの判断の上で、出場の可能性も示唆した。今村は好調のチームを見ながら「出られない自分が情けなく、悔しかった」と言う。ただ、「今は試合出場のことは考えられないです。バスケをさせていただけることに感謝して練習に打ち込みたい」。チームメートを支える気持ちで、バスケと向き合う決意をした。

◆アジア大会不祥事の処分解除の経緯 昨年8月のジャカルタ・アジア大会期間中、バスケットボール男子日本代表の今村、永吉佑也(京都)橋本拓哉(大阪)佐藤卓磨(滋賀)の4選手による買春行為が発覚。日本バスケットボール協会はアジア大会の代表資格を剥奪し、18年8月29日から1年間の公式試合出場権剥奪を決定した。協会規程では処分期間の半分を経過後、日本協会裁定委員会に復権の申し立てができる。半年が経過した今年3月に4選手から復権の申し立てがあり、裁定委員会の審議後、4月10日の理事会で処分解除が了承された。11日に処分解除。復権後、ただちに公式戦出場が可能になる。

◆今村佳太(いまむら・けいた)1996年(平8)1月25日生まれ、長岡市出身。長岡東北中から長岡工。新潟経営大では2年からレギュラー。北信越大学選手権で春季、秋季合計4度の得点王を獲得。17年11月に新潟に入団。U-24日本代表候補に選手された。18年8月に日本代表入りし、オセアニア遠征に参加。ポジションはSG/SF。191センチ、92キロ。背番号30。