08年北京オリンピック(五輪)金メダルのベテランがチームを引っ張る。女子ソフトボール日本代表の山田恵里外野手(35=日立)が30日、アジアカップ(5月1日開幕、ジャカルタ)に向け羽田空港を出発した。

2月の海外遠征は参加せず、今年代表初合流となった山田は「東京五輪に向け、海外のチームと対戦できるのは貴重になってくるので1戦1戦大切に戦いたい」と誓った。ともに北京五輪金を知る上野が直前のリーグ戦で打球を受け、頬を骨折。代表離脱となった。

山田は「びっくりしました。一番いろいろ背負っている人。少しでも減らすのが自分の役割だと思う。安心して戻って来られるように、今まで以上に働かなければいけない」と話した。

昨季はケガとの闘いだった。3月と8月に右脇腹の肋(ろく)軟骨を骨折、10月には太ももを肉離れした。年齢を重ね、体力の衰えを感じることも。

「昔できたことができないのも受け入れなければいけないので、現状を考えながらケガをしない体作りを意識してやっている。120%を出そうとするのではなくいかに80%の力を常に出せるか」と自分の体と向き合いながらトレーニングを重ねてきた。

もちろん、金メダルを知るレジェンドとして経験も伝えていく。「自分も野手最年長。上に立つ者の姿とはチームに影響する。監督とチームの橋渡しをしたい」と話す。

一方で後輩から打ち方、とらえ方など自ら積極的に技術を学ぶ姿勢も忘れてはいない。「経験をしている幅があるので、その点は負けない自信があります」。と言い切った。レギュラーを譲る気はない。平成で大きな偉業を成し遂げた山田は、令和になってもグラウンドに立ってチームを引っ張る。【松熊洋介】