アルバルク東京が千葉ジェッツに71-67で勝利し、2連覇を達成した。レギュラーシーズンで1勝5敗と大きく負け越した東地区の王者に対し、第3クオーター(Q)で流れをつかみ、第4Qの猛追を逃げ切った。ワイルドカードでチャンピオンシップ(CS)に進出し、準々決勝で新潟アルビレックスBB、準決勝で琉球ゴールデンキングス、決勝で千葉と各地区の1位をすべて撃破し、下克上での日本一に上り詰めた。CSの最優秀選手賞にはA東京の馬場が輝いた。

残り2秒。相手のシュートが外れると、勝利を確信したベンチの選手たちがコートに飛び出し、会場が歓喜に包まれた。A東京は第3Q終了時点で19点差と頂点が見えてから猛追を受けた。千葉富樫の3点シュートなどで、残り30秒を切って2点差に迫られたが、なんとか逃げ切った。チーム最多16点を挙げた田中は「この日のためにやってきた。勝てると信じていた」と笑みがはじけた。

この一戦にかけていた。パビチェビッチ監督は故障明けの田中をCSで初先発させ、ともに日本代表の馬場と前半から攻撃を仕掛けた。第3Qでは「オフェンスリバウンドを抑えるよう意識した」という指揮官の思い通りに長身の外国人選手をマーク。相手のリバウンドを抑え、攻撃につなげ29点を奪った。両チーム最多12リバウンドを獲得した身長198センチの馬場は「勝利を第一に考え、相手ディフェンスも意識してプレーした」と作戦を明かした。

満足いくシーズンではなかった。田中はシーズン序盤からけが続き。馬場を含め中心選手がチームを離れることが多く、ベストメンバーで臨んだ試合は多くなかった。田中は「けがからスタートして出たり入ったり。タフなシーズンだった」と振り返る。レギュラーシーズン7割を超える勝率ながら3位で終えた。ワイルドカードでのCS進出にパビチェビッチ監督は「冷静になろう。タフネス(辛抱強く)にいこう」と選手を鼓舞し続け、頂点に導いた。

新潟、琉球とアウェーでのタフな試合を勝ち上がり、頂点に上り詰めた。来季の前には日本にとって21年ぶりの出場となるワールドカップ(8月31日開幕、中国)が控える。日本代表の馬場は「今年がターニングポイントとなるようにしたい。日本バスケ界がここで変わったと言わせたい」と、日本一を達成した勢いそのままにW杯に挑む。【松熊洋介】

◆アルバルク東京 前身はトヨタ自動車男子バスケットボール部で、16年にBリーグ参戦に伴いプロ化。アルバルク(ALVARK)は電撃の意味を持つアラビア語を元に英字表記したもの。本拠地はアリーナ立川立飛、駒沢体育館。16-17年シーズンはCS準決勝敗退、昨季は東地区2位から優勝。