2020年東京オリンピック(五輪)大会組織委員会は29日午前11時59分、五輪チケット抽選申し込みを締め切った。

締め切り時点でID登録は750万8868件。前日深夜の約714万件から最後の半日で約36万件増えた。公式販売サイトへの累計アクセスは2425万件に上った。

ウエイティングルーム(待合室)が最も混み合ったのは28日午後11時30分ごろで、最大101万人が待機し、待ち時間は約3時間30分だった。組織委は同8時に締め切りの12時間延長を発表。鈴木秀紀担当部長は「延長発表の後もアクセスがかなり増えて、結果的に12時間延長して集中が緩和できたと思う。延長は想定の範囲内だった」と満足げに語った。

この日、締め切った時点で待合室の待機人数は約28万人で、約1時間15分の待ち時間だった。締め切りまでに待合室に入っていれば申し込み完了まで操作できる仕組みにしていた。

一方で、締め切り延長をしたことで約1000人に、通常は出来ない二重申し込みができる不具合が生じた。組織委は今後、対象者に個別に連絡し、不利益が生じないよう対応を図るとした。

総申込者数や、申し込み枚数について鈴木部長は「今後の販売戦略に関わるため」として公表しなかった。

組織委は当選したチケットのキャンセルを禁じているが、6月20日の当選発表から7月2日の支払い締め切りまでに購入しなければ自動的に当選が失効する。自動失効させた場合、今後実施されるパラリンピックの抽選において、当選の確率が下がるペナルティーを課す場合があるとした。

申し込み実数を公表しなかった理由の一部として、自動失効による下げ幅を明らかにしない狙いもあるとみられる。一方で7月2日の購入締め切り後、販売実数の発表を検討するとした。

当落の連絡はID登録した際のメールアドレスに発送されるが、不正、詐欺行為の偽メールが横行する可能性について注意喚起した。鈴木部長は「東京2020のドメインで送付します。偽メールではないと確認した上で開封してほしい」と訴えた。

組織委は対応策として、支払い決済に関わる重要なメールという観点から、クリックすれば自動的にインターネットにアクセスできる「URL」をメールに記さないことを決めた。「URLが張り付いていたら偽メールだと思ってください」と話した。

また、当選結果をハガキや電話で知らせることはないとし、組織委を装った詐欺行為へも注意するよう訴えた。

支払い手続きは、30万円未満であればコンビニエンスストアで現金支払いが可能。30万円超であればVISAカードでの決済となる。当選したチケットは一括購入しかできないため組織委は、支払期限に余裕を持ってカードの支払い上限額を確認することを勧めた。【三須一紀】