体操で18年世界選手権銀メダリストの村上茉愛(22=日体ク)が21日、全日本種目別選手権(22~23日、高崎アリーナ)の公式練習後に取材に応じ、「今回は経験の一環として自分の意志で出ることを決めました」と表明した。跳馬にのみ登場する。

今年の世界選手権の選考会だった5月のNHK杯を腰のけがで棄権。代表権を逃したが、東京オリンピック(五輪)の団体総合出場枠がかかる戦いへ、一時は異例の救済案が浮上していた。最終的には6月の理事会で田中光女子強化本部長が全日本種目別の出来を見てあらためて審査する「特例」をお願いしたい意向を伝えたが、否決されて代表の可能性が消えていた。

村上は一連の流れについて、「NHK杯の時に自分でケガをしてしまい、あきらめた。代表は無理だと思っていたので、東京に向けて頑張ろうとその場で覚悟した。分かっていたことなので」と毅然(きぜん)と答えた。その後に救済案については、「手を差し伸べてくれようとした、応援はありがたかった」と感謝した。

腰は蓄積疲労で、NHK杯後もリハビリを続けている。その中では心が折れそうになり、体操から逃げたくなったこともあったという。ただ、周囲からは自己責任にもかかわらず調整面で謝罪されたり、「また一緒に試合をしたい」「茉愛が必要だ」と言ってくれる人がいたことが心の支えだった。

理事会で世界選手権の可能性がなくなった直後には、男子で五輪個人総合2連覇の内村航平(30)から連絡があった。4月の全日本選手権を両肩痛の影響で予選落ちし、同じように世界選手権出場を逃し、いま復帰へ向けて頑張っている。「ゆっくり休んで、また一緒に頑張りましょう」というエールに、「必死に治して頑張ります」と感無量で返したという。

「ちょっと気持ち的に沈んでいたので、自分は1人じゃないなと思いました」。キングの後押しも1つの支えに復活を目指す。【阿部健吾】