「ゴリ」が代表に戻ってきた。世界ランキング11位の日本は同6位カナダに3-0でストレート勝ち。度重なる故障に苦しんできた清水邦広(32=パナソニック)が3年ぶりにジャパンのユニホームでコートに立った。

「ただいまで~ス!」。清水は試合後、照れくさそうに客席に声を上げた。第1セット中盤に交代出場し、ライトから豪打で20-15とリードを広げた。「緊張しました。多くの人の励ましが…、感謝しかありません…」。その1人、同期で同僚の福沢に肩を抱かれると言葉を詰まらせた。

16年12月に右足甲の疲労骨折。18年2月に右膝前十字、内側側副(じんたい)断裂。ともに約1年の治療とリハビリを要する重傷だった。昨年からは4度もの手術。壊れかけた心を支えたのは屈辱だ。

21歳で出場した08年北京五輪は5戦全敗で最下位。セッター対角、攻撃専念のオポジットとして代表を支えてきた男は、この日3セットすべてに途中出場したが1得点。ただ「僕には大きな1歩。北京でできなかったことを東京で…。これからまた、世界に通用する選手になりたい」。エースが復活への道を歩み始めた。【小堀泰男】