【ヌルスルタン=阿部健吾】女子50キロ級で入江ゆき(27=自衛隊)がまさかの敗戦を喫した。

2試合を勝ち抜き迎えた準々決勝。今年のW杯、アジア選手権で連勝していた孫亜楠(中国)に12-13で競り負けた。距離感がわずかに遠く高速タックルを出せない展開が続くと、開始1分過ぎにがぶり返しを食らい0ー4と先制点を奪われた。第2ピリオドに入ってからは「考えていなかった」という背後を取られてからのスープレックス。女子ではめったに見ない大技で5点を失い、追い上げも届かなかった。

「負けてしまって申し訳ないです」。試合直後は通路で涙に暮れた。今大会で表彰台なら東京五輪の代表に内定できた。リオデジャネイロ五輪金メダルの登坂、世界選手権2連覇中だった須崎との三つどもえを制して、初めて臨んだ世界舞台。この日が27歳の誕生日のベテランは、絶対に東京切符をつかみたかった。準決勝で孫が敗れたため、敗者復活戦に回れず、今大会では5位以内で得る出場枠確保もできなかった。日本協会の規定では、12月の全日本選手権の優勝者が来年3月のアジア予選に出場することになる。