全日本テコンドー協会の金原昇会長が27日、千葉市で行われた東京五輪テスト大会を訪れた。強化選手の大半が今月の合宿に参加しなかったことについて報道陣に質問され、「決勝が終わった後に話す」と答えたが、決勝が始まる前に会場を後にした。

強化方針などを巡って選手と協会が対立し、選手側は6月に体制の改質を求める意見書を提出した。協会は9月にようやく回答書をホームページに掲載したが、当初の予定よりも大幅に遅れての回答で、28選手中26選手が合宿参加を辞退していた。協会は来月1日に選手や所属先などと協議会を開く予定。

この日のテスト大会では男子58キロ級と女子49キロ級の2階級が行われた。男子58キロ級で準優勝の松井隆太(HANARO)は「人数が多ければ合宿に参加したが、少ないということで参加しなかった。所属先で調整できたので、今大会への影響はなかった」と話した。3位の村上亨来(大阪経法大)は、「国際大会で結果を出せたのは初めて。直前に所属先で調整できたことがプラスになった」。合宿に参加しなかったことが、逆に好結果につながったと自己分析した。

今月の強化合宿に参加したのは若手2人のみ。男子で唯一の参加となった18歳の戸村仁(仙台大)は、多くの選手が不参加を表明したことを「報道で知った」と言う。少人数での合宿ではマンツーマンで指導を受け、練習そのものには満足した様子。「それでも、またみんなでやりたいという思いはある。いい方向に向かってほしい」。今大会では1回戦で敗れた。

女子49キロ級で1回戦敗退の松井優茄(ムジャキフーズ)は「みんなでまとまって練習をやりたい」と訴え、2回戦で敗れた長野聖子(大分ケーブルテレコム)は次回の合宿について、「個人としては、試合と日程が重ならなければ参加しようと思っている」と話した。