バドミントン女子シングルスの奥原希望(24=太陽ホールディングス)が、29日付の世界ランキングで自身初の1位となることが分かった。29日に欧州遠征から成田空港に帰国し、取材に応じた奥原は「まだ実感はわかないけど、ずっと目標にしてきた」と微笑んだ。

デンマークオープン(OP)で準優勝、フランスOPでは準々決勝で敗れたものの、結果を伸ばせなかった戴資穎(台湾)、山口茜を抜いた。ただ、今年1月にプロ転向してからまだワールドツアーの優勝はない。6月のオーストラリアOP、8月の世界選手権(スイス)、今回のデンマークOPはいずれも準優勝。決勝で勝ちきれない試合が続いている。「タイトルを取れていない中での1位には物足りなさを感じる」と素直には喜べない。

それでも5月からの東京オリンピック(五輪)出場権をかけた選考レースでは現在2位と安定した成績を残し続けている。今回のデンマークOPとフランスOPでは、敗戦の中にも手応えを感じた。「全体的にベースアップしていくことを目標に掲げてやってきた。イメージもよくなってきている。継続していきたい。勝ちきれないところは足りないものがあるが納得できる試合ができた」と前向きだ。

勝つためには何が必要か。「無欲にシャトルを追い続けたい。勝てていないことを考えすぎてしまっていた。目の前のラリーを楽しみながら。欲しがってしまうと硬くなってしまうので、うまくコントロールできたら」。今年の試合は全日本総合も含め、残り4戦。台風19号で地元長野は大きな被害を受け、自身も遠征で飛行機が欠航になるなど影響を受けた。「友達からも実家大丈夫? という心配の声も多かった。復興には時間がかかるが、一生懸命試合を続けながら地元の人にいいニュースを届けたい」。常に自分のプレーと向き合いながら進化し続ける奥原は、頂点に上り詰めても満足することなく今季初優勝に向けまい進する。【松熊洋介】