【メルボルン28日=吉松忠弘】女子テニスで世界4位の大坂なおみ(22=日清食品)が、東京オリンピック(五輪)の出場条件を満たした。

日本テニス協会は28日、2月7、8日に行われる女子国別対抗戦フェド杯対スペイン(スペイン)の日本代表を発表。大坂が代表入りを果たし、東京五輪の出場条件である代表戦の選出回数をクリアした。

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夢の実現に向け、準備はすべて整った。フェド杯の代表選出で、大坂はもし出場しなくても、東京五輪出場条件をクリアすることになる。土橋登志久女子代表監督は「エースとして、チームの柱として以前より期待し、信頼している」と、期待を込めた。

4大大会本戦初出場を決めた16年から「ずっと東京五輪に日本代表で出場するのが夢」と言い続けてきた。それでも日本と米国の2つの国籍を持つため、どちらの代表で出場するのか、注目が集まった。

しかし、それも18年4月の対英国戦に出場したことで、東京五輪に日本以外の国を代表して出場することは、オリンピック憲章の規則上できなくなった。そして、19年10月に日本国籍選択宣言で駄目を押した。

常に日本に寄り添い続けた。米国がオファーを出しても、大坂が首を縦に振ることはなかった。ただ、日本で生まれ、父フランソワさんの母国ハイチを祖先に持ち、米国に住む。3カ国に囲まれた大坂個人のアイデンティティーを問われたとき「私は私でしかない」と、答えている。

対スペインは敵地で、大坂の苦手な赤土が舞台だ。しかし、もう何も不安はない。以前のフェド杯では「日本のチームは本当に楽しい」と話していた。東京五輪に向け、まずはフェド杯で、日本のエースの役目を果たす。

○…大坂と同じく日米の国籍を持つ柴原瑛菜(21)が初選出された。両親は日本人だが、米国生まれ。カリフォルニア州立大ロサンゼルス分校を休学しプロに転向し、青山修子とのダブルスで日本女子最高位につける。土橋監督は「大坂と同じぐらいに期待している」と話した。

◆東京五輪テニス代表への道 20年6月8日発表の世界ランキングで、男女シングルスは、各国及び地域最大4人、計56人が選ばれる。残り8人は、大陸別枠や過去の五輪メダリストらに分配される。出場条件の1つに、16年リオデジャネイロから東京五輪までの4年間で男子ではデビス杯、女子ではフェド杯の代表戦で少なくとも3回は選出されていること。その内の1回は19か20年であることというのがあり、大坂はそれをクリアした。

◆フェド杯 63年から始まった国際テニス連盟主催の女子国別対抗戦。20年から方式が変更され、デビス杯同様に、予選と決勝大会を行う形となった。日本は対スペインの予選に勝つと4月の決勝大会(ブダペスト)に進出。敗れると同月に地域グループとの入れ替え戦に回る。

◆フェド杯スペイン戦日本代表 大坂なおみ、土居美咲(28=ミキハウス)、奈良くるみ(28=安藤証券)、柴原瑛菜(21=橋本総業)、青山修子(32=近藤乳業)