東京五輪・パラリンピック選手村の選手村の交流施設「ビレッジプラザ」が29日、報道陣に公開された。

カフェや店舗などが入る予定の同施設は木造建築。床面積約5300平方メートルで、スギやヒノキなど角材約4万本相当が使用された。全国63自治体から木材を借り受けて建設し、解体後は返還する。日本の伝統建築を世界にアピールすると同時に、持続可能な環境保全や各自治体でレガシーとして活用されることを目的としている。

ビレッジプラザは5棟が渡り廊下でつながっている構造。柱や床などは木材、屋根はスチール、壁はポリカーボネートなどで作られている。柱や床に装飾を施さない予定で、見た目は木材がむき出し状態。木材がふんだんに使われているため、どの棟でもやさしい木の香りが漂う。木材には「東京都 Tokyo」などと、それぞれ提供自治体が記されている。自治体返還前には、使用を証明する刻印が入る予定だ。

大会組織委員会の森喜朗会長は「選手に対して、それぞれ出身自治体の木材にサインを書いてもらったらいい、と言っているんだ。(提供木材返還後)自分たちの故郷から、こういった選手が出たということが分かっていいのでは」と提案。元五輪相で組織委の遠藤利明会長代行は「日本、海外問わず、選手やメダリストにサインしてもらえれば、提供木材はまさに五輪の象徴になるはず」と話すなど、レガシーとしての価値を高める提案をそれぞれ口にした。

建物は耐震性を確保するなどの要素を満たすため、3つの柱をツイストさせて組むなどの3つの構造を使い分けて建築された。

建築費は24億3000万円。昨年2月から工事を開始。今後、一部設備工事を経て、4月に完成予定。

木材返却後のレガシーとしての用途は各地自治体に任されており、山形市では小学校の新校舎の建材、宮崎県日南市では市役所新庁舎の一部に使われる予定。