今年8月、東北から九州の21府県で分散開催される予定だった全国高校総合体育大会(インターハイ)の史上初となる中止が26日、決まった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、主催する全国高等学校体育連盟(全国高体連)が同日にウェブ会議方式の臨時理事会を開き、全理事の総意で議決された。延期も協議されたが、不可能と判断。今後は県レベルでの大会開催の検討要請を各都道府県の高体連に通知した。

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運動部活動の高校最高峰大会も、新型コロナによる開催中止の波にのみ込まれた。全国高体連が午後2時から、感染症の専門医も招き協議した臨時理事会で決定。収束が見通せない中、議決理由について(1)競技だけでなく移動や宿泊による感染リスクが大きく参加者の安全を確保できない(2)臨時休校で十分な練習時間を確保できず、負傷や熱中症の発生が懸念される(3)全国の医療機関が新型コロナ対策に追われており、大会中の事故等に対応できない可能性がある、と説明した。

終了後、オンラインで会見した全国高体連の奈良隆専務理事は、9月のシルバーウイークへの延期も検討されたことを明かしつつ「現実的には不可能だった。断腸の思い」と全国120万人の高校生へ説明。今年は3月の選抜大会も全面的に中止となっており、今回の決定で3年生には最後の全国大会が消滅。スポーツ推薦など大学入試への影響も避けられなくなったが、岡田正治会長は「夢を奪うためではなく命を守るためだった」と理解を求めた。

1963年に新潟県で第1回大会が開かれて以降、初の中止。今年は30競技で約3万8000人が参加予定だった。当初は、延期前の東京五輪の閉幕翌日に当たる8月10日から24日までで、5月25日の理事会で開催可否を話し合う方針だった。全国への緊急事態宣言拡大を受けての前倒しに、1カ月後の状況を待つ意見もあったが、奈良専務理事は「決定が早すぎるとは思わない。5月いっぱい休校措置の地区もあり、6月1日から部活動を再開できる保証もない」と説明した。

一方で“救済策”にも言及した。全国大会は消滅したが、夏休みまでに状況が改善し、部活再開が認められた都道府県に対しては県レベルでの大会開催検討を要請した。あくまで「お願いベース」。成果発表の場が設けられるかは各高体連に委ねられる。【木下淳】

◆全国高校総合体育大会(インターハイ) 高校スポーツの総合競技大会。夏に陸上、水泳など30競技を実施する(冬はスキー、スケートなど)。各競技の全国高校選手権が1963年(昭38)に統合されてスタートし、第1回は新潟県を中心に行われた。開催地をほぼ持ち回りとし、全競技を実施できない場合は近隣県に振り分けてきた。負担軽減などを目的に2011年から複数の自治体にまたがるブロック開催となった。19年の参加選手総数は約2万8000人。主な現役の優勝者は競泳男子の瀬戸大也、陸上男子の桐生祥秀、柔道男子の阿部一二三ら、1年延期となった東京五輪の主役候補がズラリ。