新型コロナウイルス感染拡大で東京五輪は延期となった。選手が来夏の祭典で獲得を目指す五輪メダル。各競技でどのような歴史が刻まれてきたのか。「日本の初メダル」をひもとく。

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1928年アムステルダム大会で、日本競泳界初のメダルが生まれた。鶴田義行が男子200メートル平泳ぎで2分48秒8をマークして優勝。競泳初のメダルは金だった。「日本五輪金メダル1号」の陸上3段跳び織田幹雄に、わずか6日遅れの「2号」だった。管理人をたばこで懐柔して、使用禁止だった深夜に本番プールで練習したのが、競泳ニッポンの第1歩となった。

日本競泳界は1920年アントワープ大会で五輪初出場。当時の選手は日本泳法。武芸のひとつとして伝えられた日本古来の泳法で長距離を泳ぐ、水中格闘など多様な泳ぎがあった。しかし欧米のクロールと勝負にならなかった。この苦い敗戦から日本もクロールを取り入れて大幅に進化。8年後のアムステルダム大会は鶴田に加えて、男子800メートルリレーで銀メダル、男子100メートル自由形は高石勝男が銅メダルを獲得した。

鶴田は1932年ロサンゼルス大会でも同じ男子200メートル平泳ぎで金メダル。全競技を通じて日本人初の五輪連覇を達成。この大会で競泳ニッポンは6種目中5種目で金メダルを獲得して、大勝利を挙げている。