新型コロナウイルス感染拡大で東京オリンピック(五輪)は延期となった。選手が来夏の祭典で獲得を目指す五輪メダル。各競技でどのような歴史が刻まれてきたのか。「日本の初メダル」への道のりをひもとく。

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ボート競技に日本は1928年から出場してきたが、男女ともまだメダルに届いていない。最高成績は2000年シドニー大会と04年アテネ大会における6位で、いずれも男子軽量級ダブルスカルで武田大作(ダイキ)と組んだペアが残した。

シドニー大会での武田は長谷等(中部電力)と臨み、敗者復活戦を経て準決勝を突破。6艇で争われる決勝に日本勢として初めて進んだ。序盤は5番手で力を温存。後半勝負に備えたものの、次第に前との差を広げられ、後続艇にも抜かれて最後尾でゴール。「パーフェクトにやったが、歯が立たなかった」と実力差を認めた。

4年後のアテネ大会では浦和重(NTT東日本)とペアを組み、2大会連続で決勝へ。中盤にさしかかっても2番手以下は混戦状態が続き、メダル争いに加わった。しかし終盤に力尽き、再び6位に終わった。

武田は現在46歳。東京五輪出場を目指してきたが、当初は最終選考会とされていた日本代表候補選考レース(3月)の予選出場基準を満たせなかった。所属先によると、その後も現役続行中。ボート界のレジェンドは、黙々とオールを漕ぎ続ける。