日本一のポイントガード(PG)になって令和の日本代表を引っ張る。今年4月から東海大に進学したバスケットボール男子の河村勇輝(19)が24日、日刊スポーツの電話取材に応じ、これから始まる大学生活や今後の夢について語った。

今年1月には高校生ながら特別指定選手としてBリーグの試合にも出場。同じポジションで、目標とする田臥勇太(39=宇都宮ブレックス)や富樫勇樹(26=千葉ジェッツ)の背中を追い掛け、新生活をスタートさせる。

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今年1月、特別指定選手としてB1三遠ネオフェニックスに加入。先発でも出場するなど、代表選手と互角に戦い、会場を沸かせた。スーパー高校生は、わずか11試合の出場ながら、新人ベスト5にも選出。それでもおごりはなく、夢への通過点と捉える。

河村 日本一のPGになって、日本代表として世界の舞台に立ちたい。

あこがれの田臥と対談し「代表になるにはPGとしてコートで引っ張って存在感を示すことが大事」と教わった。富樫とは実際に試合で対戦し、技術の差を目の当たりにした。

河村 小さい頃から(2人を)ずっと見てきた。身長は同じくらいなのにずっとトップで活躍している。ここ1本止めなきゃいけないという時に、かわされて決められたり、相手の嫌がることを常にやってくる。

高校時代には、チームの中心としてウインターカップ連覇するなど、勝利に貢献したが、プロの世界では連敗が続いた。フル出場していたこれまでと違い、途中出場の難しさを学んだ。

河村 得意なスピードあるプレーや3点シュートなど通用する部分もあった。ただ、PGとしてゲームコントロールができず、チームを勝たせることができなかった。先発で出ている以上、勝つという責任がある。コートに立てば先輩後輩関係ない。バスケIQや体作りが足りないと感じた。

Bリーグで得た課題と収穫を次のステップでさらなる成長につなげる。今後も特別指定選手として試合に出るつもりだが、大学進学に迷いはなかった。

河村 自分に合っているのは大学だと。シュートやパスの技術などバスケットの能力を培うだけでなく、勉強も含め、大人になるために学習する場所。

八村、渡辺ら世界で活躍する代表選手にも刺激を受けたが、自身の海外挑戦については明言を避けた。

河村 すごいことだし、尊敬している。先輩たちが道を切り開いてくれた。日本のバスケ界の底上げになったと思う。自分もいずれはそうなりたいが、あくまで1番の目標は代表のコートに立つこと。

延期になった東京オリンピック(五輪)にも慎重な考えを明かした。

河村 もちろん出たいと思うが、チャンスが来た、と言ったら、これまで目指してきた人に失礼になる。

インターハイが中止になるなど、昨年まで一緒に夢を追い掛けていた後輩たちが苦しんでいる姿にも悲痛な胸の内を明かした。

河村 立場が違うし、非常に難しい。生半可な言葉はかけられない。ウインターカップがある可能性があるので、それに向けて頑張ってほしいと伝えた。

4月に1週間ほど寮に入ったが、その後新型コロナウイルスの影響で、現在は実家のある山口で、はやる気持ちを抑えながらトレーニングを続ける。高校から親元を離れており、新生活への不安はないという。

河村 今は実家の方が安全な環境。体育館は使えないが、庭にリングもあるので、軽い練習をしている。

4月からはSNSの発信を始めた。プロ選手と接して学んだ責任や応援してくれる人たちとの交流を考え「少しでも元気を与えられたら」と話す。夢に向かって努力する姿をファンや後輩に見せながら、河村が令和のバスケ界を背負って立つ。【松熊洋介】

◆特別指定選手 16年にBリーグ発足とともに設立され、全日本大学連盟および全国高校体育連盟のいずれかに加盟する16歳から22歳までの選手が対象。各クラブ2人まで登録可能で、Bリーグの試合に出場できる。契約期間は3カ月。河村は高校時代に適用され、史上最年少Bリーガーになった。大学進学後も、特別指定選手としてBリーグに出場する予定。