F1の開幕戦オーストリアGPで、レッドブル・ホンダは2台ともにトラブルでリタイアを喫した。いずれも電気系トラブルに起因するパワーユニットの出力低下が原因だが、それぞれ異なるトラブルだった。

ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、レース後に次のように説明した。

「レッドブルの2台は電気系と思われるトラブルでリタイアとなりました。(パワーユニットの電気系には)要素がたくさんありますので今のところ片っ端から当たって現在進行形で調査中というところです。2台とも全く違う症状で、開幕前テストなどこれまでに一度も出たことのない症状です」

アレクサンダー・アルボンはミスファイアのような症状でパワーを失ってストップしたが、マックス・フェルスタッペンはピットに戻り電気系を再起動して復帰を試みたものの、トラブルは解消しなかった。

「非常に原始的な方法ではあるんですが、電気系というのはパワーサイクル(再起動)すると直ることが多々あるのでトライしたんですが、さまざまなエラーメッセージが出ていて解消は出来ませんでした」

予選ではメルセデスAMGに0・5秒差を付けられたレッドブル・ホンダだが、決勝ではフェルスタッペンが2位を走行しメルセデスAMG勢と互角の走りを見せた。アレクサンダー・アルボンもセーフティーカー導入の際にソフトタイヤに履き替える戦略が功を奏し、2位ルイス・ハミルトンに襲いかかり、接触して後退することとなったものの「アレックスには勝つチャンスがあった。2台ともにレースのある段階ではそれぞれ優勝できるところにいた」(クリスチャン・ホーナー代表)という強さを見せた。

リタイアという結果に終わりはしたものの、ホンダとしてもマシンパッケージの性能を最大限に発揮するという目標は達成でき、メルセデスAMGと優勝争いをする力は確認できたと田辺テクニカルディレクターも語る。

「アルボンが(レース終盤に)1人ソフトタイヤでハミルトンを抜いてその先どうなったのかという希望的観測も持てますし、レース戦略をうまくやったというのがかなり大きかったとはいえ、それも実力のうちと我々のパフォーマンスを発揮した上でレースでの対他競争力が見えたのではないかと思います」

第2戦は同じオーストリアのレッドブルリンクでシュタイヤーマルクGPとして開催され、7月10日金曜日から再び走行が始まる。レッドブルとしてはマシンバランス改善のためのマシンセットアップの煮詰め直し、そしてホンダとしては電気系トラブルの原因究明が急務となる。(米家峰起通信員)