「日本一を目指していきたい。ブロック、クイック、スパイクで武器のスピードを生かし、チームの戦力になりたい」。バレーボールVリーグ男子2部ヴォレアス北海道へ8月、同じV2の大同特殊鋼から新加入した後藤万澄(24)は10月予定の開幕へ向け、限りある時間で連係を深めていく。

異色のキャリアだ。山形・米沢中央高3年夏まで野球一筋。県大会決勝まで進んだ2年夏を含め公式戦登板はなかったが、4種類の変化球を操る技巧派右腕として、「プロを目指していた」。関東強豪大からも推薦を受けていたという。

だが野球部引退後、気持ちは大きく揺れ動く。入学当初から熱心に誘われていたバレーボール部に、夏休み明けから加わった。同校は同年の新人戦優勝の強豪。「体育の授業でしかやっていなかった」素人は、トス1つから下級生に教えてもらい、メキメキと頭角を現した。打者との駆け引きを楽しむ器用な投球スタイルが「バレーも向いている感覚があった」と振り返る。2カ月後には全日本高校選手権(春高)県予選に出場。3位に終わり全国は逃したが、野球で活躍を見せられなかった両親に「コートで活躍する姿を喜んでもらえた」と充実感があった。

東北大学リーグ1部10連覇中だった強豪仙台大に進み、1年秋から試合出場。4年間で5度のブロック賞を獲得し、卒業後の昨年に前所属に入団した。対戦相手だったヴォレアスは、リーグ平均の約2倍の集客力を誇る。「今までのVのチームにはないキラキラしたもの、力を感じるチーム」と魅力を感じ、移籍を決断した。

夢は「日本一のミドル」。自身の経験から「いつ競技を始めるかは関係ない。(他競技から転向する選手が)日本のスポーツ界にも増えていって欲しい」。自らの活躍で、可能性の広がりを示していく。【浅水友輝】

◆後藤万澄(ごとう・ますみ)1996年(平8)4月11日、山形県山形市生まれ。山形南小3年で野球を始め、米沢中央高時代まで投手。3年夏にバレーボールへ競技転向して全日本高校選手権県予選は3位。仙台大では5度のブロック賞のほか、サーブ賞、スパイク賞も1度受賞。4年時に大同特殊鋼に内定選手として加入し、19年は20試合中19試合に出場し91得点。好きなプロ球団はオリックス。家族は両親と姉。193センチ、75キロ。最高到達点は340センチ。血液型はA。