テニスの4大大会、全米オープン男子シングルス4回戦で6日、世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が試合中に失格した。同27位のカレノブスタ(スペイン)と対戦し、第1セットの5オールから、ジョコビッチは自分のサービスゲームを落とした。その瞬間、後ろを振り向かず、ジョコビッチは球をバックフェンス側にラケットで打った。そのボールが線審の喉を直撃。線審は座り込んだ。この行為に対し、大会レフェリーと審判長が協議の結果、ジョコビッチに「失格」を言い渡したのだ。つまり、一発レッドカード、退場である。

「4大大会規則本(Grand Slam Rule Book)」という規則集がある。その中には、「行動規範(CODE OF CONDUCT)」として、大会にエントリーする締め切り、ウエアやシューズにつける広告の数からコート上の言動まで、選手が守らなくてはいけないルールが記されている。

今回、ジョコビッチの失格に適用されたのは「第3条・選手のコート上での違反行為(Player On-Site Offences)」の中の「R項・スポーツマンらしくない違反(Unsportsmanlike Conduct)」だ。

通常、違反は3段階で重くなる。1度の違反で「警告」が通告され、2度目でポイントを失い、3度目でゲームを失う。4度目以降は、続けてゲームを失うか、失格もある。ジョコビッチはこの試合、まだ1度目の違反だった。通常なら「警告」である。

しかし「T項・失格(Default)」には、「大会レフェリーと審判長の協議の上、違反の積み重ねか、1度の違反のどちらでも、失格を通告できる」とある。つまり、違反が悪質だと判断されれば、一発退場もあると言うことだ。そして、その失格の通告は、最終判断であり、選手は抗議はできない。【吉松忠弘】