オリンピック(五輪)2大会メダリストのアーチェリーの山本博(57=日体大教)が26日、「胸郭出口症候群」の修復手術後初の実戦に臨んだ。甲府市内で行われた公認記録会の男子リカーブの部(72射、720満点)に出場。「競技中に手のしびれを感じることなく集中できた」と術後の改善具合を喜んだ。

24年パリオリンピック(五輪)金メダルを目指す57歳が、納得の再スタートを切った。東京五輪代表選考敗退後、山本は指先のしびれなどに悩まされる「胸郭出口症候群」の修復手術を8月下旬に受けた。退院後のリハビリでは脚力を鍛えるために1日平均500回スクワットをしたり、普段使ってる弓よりも軽い道具で調整してきた。

26日は2試合こなし「2カ月実戦から遠ざかっていたので違う体になっていたけど、意外と的に当たるもんだと思った。来月の全日本選手権へこれから精度を上げていきたい」と抱負を口にした。愛知県内で行われる全日本ターゲット選手権で決勝ラウンドに進むことを当面の目標だ。

競技を続ける上で、他競技で活躍する同世代の姿にも刺激を受けている。53歳カズ(三浦知良)がサッカーJ1最年長記録を更新したことに触れ、山本は「普通の人が普通の生活を続けていたらできないよね。僕自身も三浦さんのように体のケアをこれからも徹底していきたい。先には辞めたくないね」と現役にこだわり続ける覚悟だ。

山本は「笑われるかもしれないけど、僕はパリで金メダルを取りたい。このままどんどん治していけば、それに届くと思っている。みんなをアッと言われせたい」。頂点に立つ日を夢見て中年の星は、あきらめるつもりはない。

【平山連】