悲願のリーグ優勝と東京オリンピック(五輪)に向け、日本バスケ界の先頭に立つ篠山がスタートを切る。5シーズン目を迎えるバスケットボールのBリーグ20-21年シーズンが2日に開幕する。アルバルク東京と開幕戦で戦う川崎ブレイブサンダース主将の篠山竜青(32)は「いろんな可能性があるチーム。どんどん良くなっているし、60試合の中でどれだけ成長できるか。ワクワクしている」と意気込む。

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今季はこれまでの3地区から、10チームずつの東西2地区制に変更となった。強豪ひしめく東地区での厳しい戦いが待ち受ける。

篠山 東地区で結果を出したい。千葉、東京、宇都宮を意識している。安定して上位に食い込むチームだし、川崎もそこに入って上位4つといわれるようにならないといけない。

昨季は新型コロナウイルス感染症の影響で、シーズン途中の3月で打ち切りになった。31勝9敗で中地区を独走。16連勝を記録するなどリーグ初制覇が見えていた。篠山自身も昨年末のひじのケガからの復帰戦が最後となっただけに「本当に悔しかった」と話す。今季の目標は全試合出場。「60試合出るのは本当に難しい。しっかりリカバリーをして試合で貢献する。これができれば結果はついてくる」と気合十分だ。

今季からリーグには、島田チェアマンが就任した。北海道の折茂武彦氏は昨季で引退し、社長業に専念。母校日大のOBが違う形でリーグをけん引し、サポートする。

篠山 自分が大学の時にも、折茂さんを始め、トップ選手たちをたくさん輩出していて、刺激になった。今度は自分が後輩のお手本となれるように、というモチベーションはある。

コロナ禍での特別な開幕は、日本代表の主将として来夏の東京五輪を視野に入れる篠山にとっても大事なシーズンとなる。

篠山 リーグ全体のテーマが「HANDS UP」。バスケットでは苦しいときこそ手を挙げてディフェンスをしろ、というのがある。苦しい状況でいろんな制限がある中、どれだけアクシデントのダメージを最小限に抑えられるか。日本一丸でやり切るというのはスポーツ界、東京五輪も同じ。リーグを最後まで無事にやることで日本は、スポーツは安全なんだというのをアピールできればいい。

8月16日には、各カテゴリーの代表選手が集まり、試合を行った。無観客ではあったが「バスケで日本を元気にする」というテーマのもと熱い戦いを全国のファンに届けた。

篠山 直接お客さんがいるといないのとで全然違うというのを感じた。Jリーグやプロ野球を見ていて日常にスポーツ観戦が戻ってきたのはポジティブなこと。多くの方にアリーナに来てもらい、そういう日常を取り戻してもらいたい。

チームスローガンは「団結」と優勝の「1」を兼ねた「UN1TE(ユナイト)」に決定。母国に帰っていた3人の外国人選手とファジーカスも合流し、全員がそろった。常に「日本一丸」をテーマに掲げる男が、チームの優勝、リーグの全試合開催、東京五輪の成功に向けた大事なシーズンをスタートさせる。【松熊洋介】