村上右磨(ゆうま、27=高堂建設)が34秒72で制した。

強みのスタートダッシュをいかして、全体トップの9秒52で100メートルを通過。加速して勢いにのり、安定した滑りで優勝した。「(100メートルの)目標が9秒4台だったので、プレッシャーのある中ではまあまあの滑りができた。最終コーナーで改善点はあったけど、優勝できたのは収穫」と笑みを浮かべた。

高校時代は無名に近く、北翔大時代にようやく35秒台をマークした。大学を中退し、実家の電気保守管理業を手伝いながらのし上がってきた。鍛え上げた肉体を生かした序盤の加速は、練習器具を作るなどして支えてくれた父との二人三脚のたまものだ。18年平昌五輪は代表の座を逃し、悔しさをばねに成長した。昨季のW杯初勝利後は、上位争いの常連になった。

大会3連覇を目指した新浜立也(高崎健康福祉大職)はライバルであり、ナショナルチームでともに練習する仲間だ。「新浜選手がベストを出せば自分を超えるので、2人で競い合って世界と戦っていきたい。国際大会がなくても、世界トップレベルの戦いができると思う」。遅咲きのスプリンターは、日本男子短距離を引っ張る気概をにじませた。