バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)北海道代表決定戦が、12日に札幌・北海きたえーるで開幕する。4年ぶりに出場する男子の斜里はメンバー7人で、1回戦で今春発足の札幌大谷と対戦する。今春から新入部員2人を加えた6人ぎりぎりで練習を続け、9月に7人目のメンバーを加えたが控え選手は1人だけ。少人数で鍛えてきた全員バレーで、6年ぶりの1勝を狙う。

世界自然遺産知床の町、斜里から風を起こす。初戦相手の札幌大谷は今春発足の1年生軍団だが、全国経験者をそろえ札幌地区2位で予選突破。小林主将は「1年生でも力のあるチーム。自分たちは人数は少ないが、みんなで積み上げてきたバレーを全力で出し、勝ちにいきたい」と意気込んだ。

単独出場も危うい状況から、ここまでたどりついた。3月に当時の2年生部員2人が受験勉強に専念するため退部。一時は4人になったが4月、経験者の浅沼と、初心者の鈴木の1年生2人が加わり、何とか6人をキープ。就任3年目の安藤幸司監督(25)は「得点源になる浅沼の加入も大きいし、鈴木はこの半年で一気に成長した。とにかく拾える。2人が入り、この3年で一番のチームになった」と手応えを口にした。

とはいえ、6人では練習内容も限られる。6対6の実戦形式には人数が足りず原則、3対3。小林は「守備範囲も広がるし全員がすべてのことをやらないと勝てない。拾って上げて打てる。それを全員でやるのが自分たちのバレー」。基本のポジションは決めているが、役割はその場のローテーション次第で柔軟に変えながら、戦い抜く。

6月の高校総体予選がコロナ禍で中止。3年生にとっては今年最初で最後の公式戦だ。大内田前主将は昨年地区予選で3戦全敗の悔しさを味わったメンバーの1人だ。「悔しさを背負って練習してきたが、夏は成果を出す舞台がなくなった。最後の大会で、これまでの思いをすべてぶつける」。地区3試合を失セットゼロで勝ち上がった勢いを、今大会につなげる。

メンバーは地区予選前の9月に経験者の佐藤が加わり7人に。リベロ候補も安藤監督は「けが人が出たら、そこに佐藤を入れる」。7人中、中学からの経験者は4人。少人数の雑草軍団が互いにカバーし合い、勝利を引き寄せる。【永野高輔】