4大会連続オリンピック(五輪)出場のノルディックスキー距離女子の石田正子(40=JR北海道)が、22年北京五輪プレシーズンを迎える。W杯は27日フィンランド・ルカ大会で開幕。冬季五輪の日本女子初の40代での出場へ期待がかかる第一人者は、まだまだ成長を続けている。

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石田はW杯開幕へ準備を整える。8日にフィンランド入りし、72時間の隔離期間を過ごしてから本格的に練習をスタートした。14日にはボカティでのFISレース(10キロクラシカル)に参戦。今季公式戦初戦で3位に入り「思ったよりも良い成績でほっとした。時差ボケも完璧に治っていない中だったので良かった」と、手応えを感じている。

春、夏は北海道・美幌でじっくりトレーニングを積めた。例年長野での高地合宿やノルウェー遠征をしているが、今年は新型コロナウイルスの影響でできなかった。それでも「それができなかったから絶対に良くないわけではない」とマイナスには捉えない。苦手だった平地での滑り改善に着手。ポールを以前より前方でつくように意識し、押す時間を長くした。「そのタイミングによってうまく筋肉を使えるようになった」。平地克服で強さは増す。

01年3月にW杯デビューしてから212戦に出場。表彰台に2度立った。長年、日本のトップをひたすら走り続ける現状には危機感もある。「早く誰かが強くなってくれれば」。後進の育成についても考える。昨季から全日本のユース担当アシスタントコーチに自ら就任した。選手兼コーチという肩書で、日本の距離界の発展を目指している。

来季は五輪シーズン。出場すれば41歳で迎える5度目の大舞台だ。冬季五輪では日本女子で40代での代表は過去にいない。石田は不惑を迎えても、体力面で「高校生の時から変わらない」と自信を持つ。速度調整などができる機器上でのローラースキーの測定では「タイムがちょっとずつ伸びている」という。ベテランエースのプレシーズンが幕を開ける。【保坂果那】

◆石田正子(いしだ・まさこ)1980年(昭55)11月5日、美幌町生まれ。旭川大高、日大を経てJR北海道入り。五輪は06年トリノ大会で初出場し、4大会連続出場。10年バンクーバー大会の30キロクラシカルで5位入賞、前回の平昌大会では同種目10位。W杯は09年3月トロンハイム大会30キロクラシカル、17年2月4日平昌大会15キロ複合での3位が最高。161センチ、52キロ。

◆冬季五輪の日本女子最年長 14年ソチ大会でスピードスケート女子1500メートルに39歳で出場した田畑真紀が最年長。40代は過去にいない。男女通じては平昌大会に出場したノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明の45歳。冬季五輪世界最多8大会出場の記録を持つ。