体操女子で18年世界選手権個人総合銀メダルの村上茉愛(24=日体ク)が、来夏の東京オリンピック(五輪)金メダルへ向け、新技を繰り出す。

全日本選手権開幕を翌日に控えた9日、会場の高崎アリーナで練習。オンライン会見で「絶対に全日本で使おうと思ってやってきた」と、跳馬でチュソビチナ(前転とび前方伸身宙返り1回半ひねり)に挑む覚悟を示した。

長く伸身ユルチェンコ(ロンダート後転とび後方抱え込み宙返り)2回ひねりを跳んできた。今回新たに取り組む大技は、難度を示すDスコアの得点で5・4点から5・8点へとアップできる。0・1点で順位が変わる結果も味わってきた世界舞台では、大きな上積みになる。

五輪の1年の延期が決断させた。故障の影響で代表を逃した19年世界選手権を見て、跳馬の大技の必要性は感じていた。ただ、本来の20年夏を目指していく上では、他種目の強化が優先だった。「跳馬にまで時間がいかなかった。今年の自粛があったからこそ、本気で取り組もうと思えた」。

9月の全日本シニアを終えると取り組み初め、段階的に技を仕上げてきた。現在は「練習ではほぼ100%立てる状態」だという。前日8日の会場練習では転倒し、「試合会場では全然違った。明日は跳ぶとなると、1回でも失敗すると頭の片隅に残るので、それが出ないようにしたい」とした。

村上が必要性を痛感した19年世界選手権、個人総合決勝では、チュソビチナの5・8点以上のDスコアを記録したのは、24選手中6人だけだった。「(個人総合で)勝つなら跳馬と思った」という確信を実現に移す。「今年、五輪があったと想定して、それより強くなっている」。1年延期を最大の味方にしてみせる。