第100回全国高校ラグビー大会(27日~来年1月9日、花園)に初出場する開志国際(北信越代表=新潟)をけん引するのはニュージーランドからの留学生、FBサポイ・ビリアミ(3年)。高い個人技と、にじみ出るファイティングスピリットを武器に1回戦の大分東明(2年連続2度目)戦の突破と目標のベスト8進出を見据える。

サポイの大きな声がグラウンドに響く。攻守の連係、ポジショニングとチームメートに細部にわたって指示する。緩慢なプレーが続くと声量は1段上がる。ただ、グラウンドを離れると優しい口調でケア。「ミスしても『大丈夫だよ』と励ますようにしている」。バックスリーダーを務めるチームの得点源は精神的支柱でもある。

「花園が楽しみ」と言う。2人のフィジー人留学生を擁する1回戦の対戦校、大分東明の試合は動画で見た。「2人とも強い。でも負けない」。最高学年になって初めて経験する全国大会に向け、テンションは日増しに高まる。

抜群の突破力で開志国際を初の花園に導いた。第100回記念大会で設けられた北信越地区代表決定戦(11月)、富山・高岡第一に72-6で大勝する中で3トライを挙げた。新潟工に14-22で惜敗した10月の県大会決勝でもチームの全2トライを決めた。ニュージーランドではロック、フランカーでプレーした体の強さがある。試合が始まるとWTBの位置に入って、スピードと切れのあるステップを披露。硬軟取り合わせた能力を全国舞台で発揮する時が来た。

日本はもともと好きだった。15年ワールドカップ(W杯)の予選リーグで3勝した日本代表の戦いぶりに感動した。アニメの「ワンピース」のファン。入学後はラーメンが大好物になった。今後は日本の大学に進学し「日本代表に入りたい」と言う。開志国際への留学を決めたのは「最初から強いチームにいるのではなく、弱いところから強くなって強豪に勝ちたい」という反骨心からだった。「ベスト8を目指す」。ポリシーを形にするチャレンジの場が近づいてきた。【斎藤慎一郎】

◆サポイ・ビリアミ 2002年2月6日生まれ、トンガ出身。2歳の時にニュージーランドに移住し、同国国籍を取得。マウント・ロスキル・グラマー校では全国大会で決勝進出を経験。開志国際では1年生から主力。憧れの選手は元ニュージーランド代表、WTBジョナ・ロムー。185センチ、95キロ。

<高橋監督 速い展開に持ち込む>

高橋昌徳監督(41)は初戦の相手、大分東明について「うちと似ている」と分析。2人のフィジー人留学生を軸にした展開ラグビーで大分大会決勝は伝統校・大分舞鶴を破った。高橋監督は「今までやってきたことをやり続ける」と言う。サポイ、NO8アロハ・ジョバン主将(3年)を起点に速い展開に持ち込む。ゲーム主将のフランカー杉崎遼(3年)は「目標のベスト8のためにも細かい部分を修正する」と話した。

◆対大分県勢 新潟代表校は大分代表(いずれも大分舞鶴)と過去4回対戦して4敗(新潟工3、巻1)。新潟県勢は過去55回出場し、39勝54敗3分け。

◆100回記念大会出場校数 例年より12校多い63校が出場。各都道府県地区優勝校51校に加え、91~99回大会各予選で参加校数上位の愛知、埼玉、福岡に1枠ずつ、全国9地区(北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州)に各1枠が与えられた。地区代表は各都道府県地区予選2位のチームによって争われた。新潟からは県1位の新潟工と、県2位で北信越代表の座を勝ち取った開志国際の2校が出場。