バスケットボール女子日本代表でエースの渡嘉敷来夢(29=ENEOS)が、右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の重症と診断された。19日に所属先が発表した。チーム関係者は全治期間について「未定」とするにとどめたが、来年の東京オリンピック(五輪)出場は極めて厳しい状況になった。今後は治療、リハビリに専念する。16日に行われた皇后杯準々決勝の富士通戦で負傷した。

渡嘉敷はチームを通じ、「このような診断結果になり、悔しい気持ちでいっぱいですが、また大好きなバスケットが出来る日を目標に1日1日を無駄にせず過ごしていきたい」とコメントした。この日、チームは東京・代々木第2体育館で皇后杯準決勝のデンソー戦に臨んだが、松葉づえをついて姿を見せ、ベンチから仲間を激励。チームが決勝進出を決めるとコートで勝利の輪に加わり、大粒の涙を流した。

身長193センチの長身で、日本代表のエースとして活躍。16年リオデジャネイロ五輪では20年ぶりの8強入りに貢献した。先月に都内で行われた日本代表合宿では、東京五輪延期について「1年間自分と向き合える時間や、さらにレベルアップできる時間が増えると、ポジティブにとらえていた」と話し、コロナ禍にあっても「モチベーションはずっと高い位置にあり、今できることを全力でやっている」と前向きな姿勢を強調していた。

日本のエースに訪れたまさかの試練。最高峰米プロリーグWNBAでもプレー経験があり、日本の弱点でもある高さをカバーしてきた。今後の強化方針にも大きな影響を与えそうだ。

◆渡嘉敷来夢(とかしき・らむ)1991年(平3)6月11日、東京都生まれ、埼玉県春日部市育ち。愛知・桜花学園高から10年にJOMO(現ENEOS)加入。15年からの3シーズンは米女子プロリーグWNBAでもプレーした。16年リオデジャネイロ五輪8強入りや、13、15、19年のアジアカップ優勝に貢献するなど、エースとして日本代表をけん引。193センチ、85キロ。