札幌山の手は東京成徳大高に92-96で敗れ、2連覇した11年以来9年ぶりの決勝進出を逃した。12点を追う第4クオーター(Q)に2点差まで詰め寄る粘りを見せたが、最後は振り切られた。2年前には全国すら逃したチームは、センター舘山萌菜(3年)と司令塔の森岡ほのか主将(1年)を中心に、初戦から3戦連続100点ゲームで勝ち上がったが、3度の優勝を誇る強豪の前に力尽きた。

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「ごめんね」。舘山は試合後に森岡ほから耳元でささやかれた。11月の道予選前に主将の重責を担わせてしまった1年生主将の言葉に涙があふれた。4点差での惜敗。チーム最多34得点のエースは「自分がシュートを決めて同点にしたかったけど、外してしまった。決めきりたかった」。9年ぶりの決勝に導けなかった責任を一身に背負った。

決勝進出の夢はあと1歩で届かなかった。第4Q残り2分8秒。森岡ほの2点シュートが決まり、点差はわずか2点。同Qで一時17点差まで広げられたが「高校生活が終わると思ったらこのまま終わりたくない」(舘山)。江畑、森岡かりんの連続3点シュートなど土壇場で3年生が奮起した。だが残り2分を切って得た2度の攻撃機会で森岡ほ、舘山のシュートはリングから外れた。残り39秒で96点目を奪われ、最後のブザーが鳴った。

一昨年は道予選決勝で敗れ出場を逃し、昨年は1回戦負け。今年はコロナ禍で約2カ月半全体練習ができなかった。苦しみ続けた3年間だった。「弱い弱いと言われた自分がチームの中心になっていく」。道予選29連覇を逃した当時1年生の舘山は心に誓った。今大会は上島正光コーチ(77)から“アシスタントコーチ”の命を受けた。その指揮官の期待に3戦連続100点ゲームの結果で応えた。この日、前半終了時点で6点ビハインド。第3Qも後手に回ったが、意地は見せた。

試合後、上島コーチは「本来ここまで来る力はない」と、9年ぶり4強となった今大会を総括した。10年に全国3冠を果たした札幌山の手は高校日本一を目指すチームだ。大会初出場で攻守に奮闘した森岡ほは「自分はあと2年ある。3年生の分まで練習を頑張って、次はもっと良い結果を出せるようにしたい」。頂点を目指す挑戦は、4強で散った今、この瞬間から再び始まる。【浅水友輝】

▽札幌山の手・森岡かりん(3年=妹ほのかとの最後の大会を終え)「2点差まで追いつけたのは粘ってくれた妹と(舘山)萌菜のおかげ。コロナで大変だったけど、妹と練習を一緒に頑張った。ここまで来られるとは思わなかった」

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