男子1000メートルで日本記録保持者の山田将矢(24=日本電産サンキョー、帯広市出身)が1分8秒80で優勝した。

同種目は今季公式戦4大会目で初勝利。苦戦するシーズンの年内最後の得意種目で、面目躍如の滑りを見せた。女子1000メートルは高木美帆(26=日体大職)がリンク新記録の1分14秒02で今大会3冠目を達成した。

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山田が1000メートルで今季初めて表彰台の中央に立った。600メートル通過時点では同走の2位藤野がトップタイムだったが、最後の1周で粘った。残り400メートルを唯一の26秒台で滑り、0秒14差で競り勝った。「全体的に落ち着いた、無難なタイムになってしまったのが残念」と納得の内容ではなかったが、優勝には変わりない。「順位は良かった」と柔らかな表情を見せた。

得意種目で苦しい試合が続いていた。今季公式戦初戦だった10月の全日本距離別選手権では新浜に敗れ2位。11月の全日本選抜帯広大会、同八戸大会は4位で表彰台にも立てなかった。今年2月の世界距離別選手権(米ソルトレークシティー)で日本記録(1分7秒03)を樹立。トップ選手としての意地がある。「常にこの種目では一番でいたい。国内大会だと、なお負けられない」。国際大会ではチャレンジャー精神で臨むも、国内大会ではプレッシャーを感じ過ぎ、思うような結果を得られていなかった。

スタートからゴールまでスピードを落とさないスタイルを追求している。世界で戦うためだ。今大会に向けて、速いタイムで周回を重ねる練習に取り組んだ。持久力の向上に手応えを感じており、「練習が生きている」。海外遠征ができず国内での調整にも充実の時間を過ごしている。

日本男子のレベルの高まりを実感している。「2年前くらいなら、1分8秒台出せば必ず優勝できるレベルだったけど、誰が8秒台を出してもおかしくない」と語る。この日、アクシデントにより途中棄権した新浜は昨季の世界スプリント覇者。同い年のライバルに「国内にそういう選手がいてくれて、緊張感を持って戦える。いい存在」。互いが滑りきっての勝利は、次戦以降へ持ち越しとなった。【保坂果那】

◆山田将矢(やまだ・まさや)1996年(平8)7月3日、帯広市出身。小学4年からスケートを始めた。池田高から日大に進み、19年に日本電産サンキョー入り。W杯初出場は18年11月帯広大会。19年世界スプリント選手権総合6位、20年世界距離別選手権1000メートル5位、団体追い抜き4位。176センチ。