第100回全国高校ラグビー大会は京都成章と桐蔭学園(神奈川)の決勝(9日、大阪・花園ラグビー場)を残すのみとなった。昨季準優勝だった御所実(奈良)は、準々決勝で桐蔭学園に7-50で敗退した。今大会、同校のロック平井半次郎(3年)の兄・継之助さん(24)が、コーチとして同行していた。流通経大でCTBとして活躍。トップリーグでプレーすることを目指したが、かなわず、米国でプロとしての道を開拓しようと、海を渡った経験をもつ。

「もっとできると思っていた。トップリーグは小さい頃からの夢。チャレンジせずに終わるのはイヤだった。アメリカに行ってから、ステップアップしようと思った」

19年7月に米国に渡った。借りた部屋のオーナーが通っていたスポーツジムに、プロラグビーリーグ「メジャーリーグラグビー」のシアトルシーウルブスの選手も来ていることを知った。オーナーに通訳を頼み、出待ちして、元米国代表のシャローム・スニウラに加入を直談判。下部組織のシアトル・サラセンズでプレーすることが認められた。

「チームに入っても、みんな相手にしてくれなくて。周りは体が大きくて、最初は一番下の4軍とかでした。『なめられてんな』とアピールしていくうちに、開幕にスタメンで出られた」

実力を認められ4試合に出場。ビザの関係で1度帰国し、20年3月に再び渡米。シーウルブスの練習に合流予定だった。だが、新型コロナウイルスの影響で帰国を余儀なくされた。地元・鹿児島に帰った際に、御所実の竹田寛行監督から「やることないんだったら、BKコーチをしてくれるか」と声がかかった。同年9月から就任。教えることでラグビーへの理解がより高まった。そして、ひたむきにプレーする、高校生の勇姿に刺激を受けた。

「花園を見て、何も思わなかったら選手としてはもうない。フツフツと込み上げるものがあった。まだ自分はやれると思った」

現在はコーチをしながら、トップリーグなど選手としての道を模索している。

「行動あるのみ。英語ができないからやらないとか、下のチームだからやらないとかはない。行動したら出会いもあったし、チームに入れた。迷ったらやってみる。進展しなかったら動いてみる」

名前の由来は幕末に活躍した「河井継之助」。絶対に下は向かない。顔を上げ、追い続け、自らの道を切り開く。【南谷竜則】