2度目の優勝を狙う世界3位の大坂なおみ(23=日清食品)が、苦戦しながらも「幸運のチョウ」の後押しを受けて2年ぶり3度目の4回戦進出を決めた。同30位のオンス・ジャブール(チュニジア)に6-3、6-2で勝ち、全豪通算18勝目をあげ、杉山愛が持つ日本女子歴代最多19勝に残り1勝と迫った。4回戦では同14位のムグルサ(スペイン)と対戦する。両者は初対戦。

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試合中にチョウが飛んできて、大坂の足元に止まった。大坂はそれを逃がそうとすると、今度は鼻に止まる。それでも慌てる様子はなく、優しく逃がすと、観客席から温かい拍手が沸き起こった。第2セットの第6ゲームで、ブレークポイントを握られたピンチの場面だった。「幸運のチョウ」のおかげか、プレーではしっかりサービスキープ。危機を脱した。

チョウへの対応通り、終始、落ち着いていた。「1番、タフな試合だった」というが、どんなピンチに追い込まれても冷静だった。滑り出しから、自身の3度のサービスゲームを含め、計5度のブレークポイントを握られた。第1サーブが入らず、第2サーブを狙われた。最初のサービスゲームは7分強、2度目も8分以上かかる大接戦に持ち込まれた。以前ならパニックを起こし、気持ちが乱れたはず。しかし、「相手はどうしようもない。自分でコントロールできるサーブとリターンに集中した」と、3度のサービスゲームをキープし、乗り切った。

メルボルンがあるビクトリア州は、13日から、州境を閉じるロックダウンとなる。新規感染者が増加したためで、この日、州首相が表明。それに準じ、1日最大3万人を受け入れてきた大会は13日から5日間、無観客となる。声援が力になると話していた大坂だが、それでも動じない。「とにかく集中するだけ」。次戦の4回戦は、4大大会の大坂にとって一つの関門だ。4回戦を突破した3度はすべて優勝している。この日の冷静さで、無観客の4回戦も、大好きな鬼滅の刃のごとく“全集中”だ。