2度目の優勝を狙う世界3位の大坂なおみ(23=日清食品)が、4大大会では自身初めてマッチポイントをはね返す大逆転で、ベスト8に進出した。同14位で、昨年準優勝のガルビネ・ムグルサ(スペイン)に最終セット、2本連続のマッチポイントを握られたが、4-6、6-4、7-5で逆転。杉山愛に並ぶ日本女子歴代最多全豪通算19勝目を挙げた。準々決勝では同71位の謝淑薇(台湾)と対戦する。対戦成績は、大坂の4勝1敗。

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絶体絶命だった。最終セット。3-5で自分のサービスゲーム。15ー40と、相手に2本連続のマッチポイント。過去の4大大会計63試合で、マッチポイントを握られて、勝った経験はない。「ストレスがたまっていた。どうしても力強さが出なかった」。しかし、「最後までファイトしよう」と、決して諦めなかった。

「何とかサービスを入れたい」と、1本目は時速191キロのエースでしのぐ。2本目は相手のフォアがアウト。追いついて最大のピンチを逃れた。しかし、4-5で次ゲームは相手のサーブ。このサービスゲームを破らなければ負けてしまう。一気にレベルを上げ「本能的にプレーした」と、3度目のブレークポイントをものにし、土壇場で5オールに追いつくと、そのまま大逆転勝利した。

大苦戦のきっかけは、ちょっとしたミスからだった。最終セットの2オール。大坂は簡単なフォアをアウトした。「凡ミスが多かった」。次の点も奪われ、今大会初めてラケットをたたきつけた。「反省している」。心が乱れ、サービスゲームを落とし、ピンチを招いた。

それでも「少し精神的に強くなったかな」と成長ぶりを誇る。マッチポイントをしのいだ逆転は4大大会で初めてで、そこにも心の成長の跡が見える。「記録とかは考えていない」と言うが、日本女子歴代最多の全豪の勝ち星に並び、名実ともに日本の歴史に名前を刻んだ。

4大大会では過去、何度も苦い思いをしてきた。「ベスト8、ベスト4に行けると言われながら、何度も4回戦の壁に泣いてきた」。だから、4回戦さえ突破すれば、過去3回とも優勝している。次戦はくせ者の謝が相手だが、この勢いを止めるつもりはない。【吉松忠弘】

◆全豪オープンテニスは、2月8~21日、WOWOWライブで連日生中継。WOWOWオンデマンドでも同時配信予定。