ビッグチャンスの到来だ。ラグビーのトップリーグ(TL)神戸製鋼で5季目を迎えるSH徳田健太(27)が、開幕戦でリーグデビューを果たす。

開幕NEC戦(20日、大阪・花園ラグビー場)先発が発表された18日、神戸市内で調整。過去4シーズンでカップ戦3試合のみの出場だった徳田は「やってきたことを評価してもらえた。いつも通り、チームのやることをやるだけです」と冷静な口調に力を込めた。

兵庫・芦屋市出身で関西学院高2年時には、1学年上の19年W杯日本代表フランカー徳永祥尭(28=東芝)らと全国高校大会(花園)で4強。関学大を経て、地元の神戸製鋼に入団した。普段は社員として造船所などを相手に営業も行うが、ラグビーでは同僚の壁に阻まれてきた。今回は元日本代表のSH日和佐篤共同主将(33)が膝を負傷。デーブ・ディロン・ヘッドコーチ(45)は「コンスタントに良いパフォーマンスを出し続けている。テンポの速さを出せる」と徳田を抜てきした理由を明かした。

新型コロナウイルスの影響を受けた昨季、TLは6試合で打ち切り。自粛期間明け、徳田は「チームで一番走れる選手になろう」と目標を掲げたという。「ブロンコ」と呼ばれる持久力のテストは、誓った通りにチームでトップ。体脂肪率は17%から12%まで落ち「SHはいくらパスがうまくても、ポイント(攻撃の起点)までいかないと意味がない。走ることで良いパフォーマンスが発揮できる」と手応えを実感している。

神戸製鋼は18-19年シーズンに優勝を飾り、今季は“2連覇”が懸かる。徳田は悔しい思いを明かした。

「神戸が優勝をしてうれしかったけれど、正直『自分が出て勝ちたい』という思いは常に感じていました。やっとアピールができる。チームの一員として、優勝に貢献したいです」

積み重ねた努力を、ピッチで証明する。【松本航】