柔道女子代表の増地克之監督(50)が10日、オンライン取材に応じ、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえた上で、東京オリンピック(五輪)代表を国際合宿に参加させる考えを示した。

コロナ禍の影響で国際大会の開催が不透明の中、五輪代表の強化活動を模索する増地監督は、4カ月後に迫る本番に向けて「試合せずに合宿などで海外勢と組んで(五輪に)臨む選手もいるかもしれない」と、新たな一手を打ち出す意向を示した。

コロナ禍以降に日本代表が出場した1月のワールドマスターズ大会(ドーハ)と今月のグランドスラム(GS)タシケント大会(ウズベキスタン)を終えて、増地監督は各階級ともに外国選手の強みでもある「変則的な組み手対策」が必要と考えた。柔道の場合、国内に世界トップクラスの選手は多数いるが、幼少期から日本人指導者にしっかり指導されているがために、パワー重視でどこから攻撃してくるか分からない海外勢の組み手をまねすることは非常に難しい。映像をもとにライバルの“完コピ”をお願いして稽古を積んでも、限界がある。五輪代表も約1年ぶりの国際大会を経験して、改めて組み手対策の重要性を実感している。

GSタシケント大会で優勝した東京五輪女子70キロ級代表の新井千鶴(27=三井住友海上)もその1人で、強豪の所属内の稽古だけでなく、新たな選手と組み合うためにも「もっと外部との実戦をこなしたい」と、出稽古を検討していることを明かした。

「全階級金メダル」が使命の日本代表において、ピーキングの調整方法はそれぞれだ。各選手が監督や担当コーチと相談の上、調整方法を決めている。五輪までの国際大会は残り数大会で、大半の代表選手はあと1大会出場する見込み。しかし、出場してもシードで2回戦から登場のため、海外勢と組めるのは決勝進出しても4、5試合となる。本番が近づくにつれて、GSタシケント大会のように当初エントリーしていた欧州の強豪選手たちが、日本代表を警戒して今後も出場を回避する可能性もある。それらを考慮すると、あえて国際大会に出場せずに、国際合宿に参加する“秘策”はありなのかもしれない。【峯岸佑樹】