92年バルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダルの古賀稔彦さんが死去したことを受け、同78キロ級金メダルの吉田秀彦氏(51)が24日、所属のパーク24を通じてコメントを発表した。

以下、全文。

「古賀先輩の訃報を聞き、今はただ驚きとまだ信じられない気持ちでいっぱいです。最後まで奇跡を信じていましたが、かないませんでした。今の私があるのは、古賀先輩のおかげと言っても過言ではありません。私は中学3年生の時に講道学舎に入門しましたが、古賀先輩は柔道が弱かった私を付き人に指名してくれました。それから練習はもちろんのこと、私生活でも常に行動を共にして頂いたことで、柔道の技術的にも精神的にも強くなれました。バルセロナ五輪では、けがで柔道ができる状態ではなかった古賀先輩が優勝した瞬間、私が金メダルを取った時以上の喜びを感じました。古賀先輩が見せたあの精神力は、今も私の支えとなっています。2人で勝ち取ったバルセロナ五輪の金メダルは一生の宝です。現役引退後は、後進の指導や子供たちへの柔道普及活動など柔道界の発展に尽力された古賀先輩に、私から人生の金メダルを送らせて頂きます。ご冥福を心よりお祈りいたします 2021年3月24日 吉田秀彦」

バルセロナ五輪の現地練習で、古賀さんは吉田氏との乱取りで左膝を負傷。内側側副靱帯(じんたい)損傷などと診断される大けがで試合当日に痛み止めの注射を6カ所に打ちながら、執念で全5試合を制した。前日に頂点に立った吉田氏は感涙。その光景は、今も日本柔道界の名場面として語り継がれている。