92年バルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダルの「平成の三四郎」こと古賀稔彦氏が24日、死去した。53歳だった。関係者によると、昨年からがんの闘病中で24日朝に亡くなった。

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常に一本を狙う柔道スタイルの古賀さんは筆も一級品だった。自らが創設した柔道私塾・古賀塾や盟友吉田秀彦氏が格闘家時代に主宰していた道場の看板、ミズノ社による特製柔道着のロゴ文字なども担当したほどの腕前。古賀さんの情熱と気持ちが注入されているようで、本当に力強かった。自身の柔道をそのまま表現しているような達筆ぶり。サインをもらったファンの心も、必ずわしづかみしていた思い出ばかりだ。

古賀さんにお中元やお歳暮を贈ると、返礼品とともに部屋に飾っておきたくなるような鮮やかな礼状はがきが一緒に届いていた。ところが昨年末のはがきには「なぜ?」と思う一文が添えられていた。近況報告や再会を期待する、いつもの文面ではなかった。「年末年始と体調に気をつけてお過ごし下さいね」と。この時、闘病生活を続けていたと思うと……。突然の訃報に喪失感は大きい。【98~00年柔道担当=藤中栄二】