5度目の頂点を狙うパナソニック(ホワイトカンファレンス=白組1位)が、トヨタ自動車(レッドカンファレンス=紅組2位)を48-21で下し、決勝進出を決めた。

4月に順大医学部に進学し今季限りで現役引退するWTB福岡堅樹(28)が、圧巻の3トライと大暴れ。28歳の現役医学生は、TL最後の試合となる23日の決勝(東京・秩父宮)で、有終の美を飾ることを誓った。

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スピードスターらしい電光石火の早業だった。パナソニックは試合開始直後、自陣深くで左展開し、福岡が相手1人をかわして猛ダッシュ。FB野口に1度パスして最後は自身で左隅に飛び込んだ。わずか30秒の出来事だった。

その後は先制点を挙げた余裕からか、チームに隙が生じてすぐに逆転された。一進一退の攻防が続き、規律が乱れて反則も連発。前半21分にフッカー堀江が早々に投入され、動きの悪い仲間たちを一喝した。「安心と余裕は違う。余裕は持っていいが必死にならないと勝てない」と鼓舞し、SO松田のPGなどで地道に得点を重ねた。後半は武器である防御からの連続攻撃が機能した。同29分と37分には福岡がダメ押しとなる連続トライを挙げて、ハットトリックを決めた。

福岡は夢である医師の道へ進むため4月に順大医学部に進学し、競技と勉強の両立を図っている。対面授業の場合は、練習拠点の群馬県太田市から都内のキャンパスまで車で片道約2時間かけて移動する。練習量は減っているが、仲間に支えられながら試合で確実に結果を残している。

現役生活も残り1試合。TL決勝という最高の舞台が整った。「悔いの残らないように全てを出し切り、もう1度優勝を経験できるように準備したい」。28歳の医学生ラガーマンが7日後、集大成の戦いを迎える。【峯岸佑樹】