ボクシングの8階級で決勝が行われ、フライ級は佐藤誠市(じょういち、札幌工3年)が、判定5-0で神田輝大(札幌創成2年)を下し、初優勝した。地元釧路を離れて競技に打ち込み、初の全国切符をつかんだ。最後のインターハイ(8月7日開幕、福井)で高校王者を目指す。

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判定勝ちを決めた瞬間、佐藤の目から涙があふれ出た。「1年の国体予選で優勝したけど、全国(代表)に選ばれなかった。やっと全国に行ける。うれしい」。襲いかかってくる札幌創成・神田との激闘をものにし、感情が込み上げた。

2つの雪辱戦を制しての優勝だった。9日の2回戦で、3月の全国高校選抜・徳島特別大会で準優勝の鈴木勇人(酪農学園大とわの森三愛2年)に2-1の判定勝ち。「今回は絶対勝たなきゃいけない、一番の山場だと思っていた。気持ち的にも一番気合が入っていた」。過去3度対戦し2連敗の相手を打ち砕き、そこから波に乗った。この日の決勝では、全国高校選抜道予選1回戦で敗れていた神田に5-0の判定勝ちを決めた。

競技を始めたのは小学3年時。格闘技が好きな父誠さん(45)の影響だった。小・中学校時代は父が構えるミットを目がけて打ち込むなど、マンツーマンでトレーニングを積んだ。ボクシング部のある高校を求め、地元釧路から高校総体団体優勝2度を誇る札幌工に進学。この日「楽しんで、いいとこ見せろよ」と父からメッセージを受けてリングに上がり、恩返しの勝利を届けた。試合終了直後には父に電話し「おめでとう」と祝福された。

姉と札幌市内で暮らしている。スーパーで買い出しし、脂肪を減らすため、野菜や鶏胸肉を取るなど、試合が近づくにつれ行う減量もしっかりと自己管理。「送り出してくれた親とか、先生方にサポートしてもらっている。絶対勝たないといけない」という思いをしっかりと体現してみせた。念願だった全国舞台が待っている。「目標としては優勝。行くからには絶対優勝したい」。見据えるのは全国の頂点だ。【山崎純一】

▼札幌工・佐藤の父誠さん これまで負けることも多かったけど、3年生の最後に頑張って結果を残してくれたのでうれしい。コツコツやった成果、ほめてやりたい。