全国高校総体ボクシング(8~13日、福井県営体育館)に開志学園の5選手が出場する。いずれも全国制覇を狙える実力者ばかり。中でもライトウエルター級・六井和(2年)とウエルター級・増田祐士(3年)は3月の全国高校選抜特別大会を制し、優勝候補。ともに2つ目の全国タイトル獲得に挑む。

  ◇  ◇  ◇

増田がコンビーネーションで攻めると、六井は得意の左ストレートをタイミングよく繰り出す。開志学園が誇る2人の王者は6日の現地入り前にスパーリングでこぶしを交え、最終調整を終えた。「フェイントのかけ方を重視した」(増田)、「ジャブとカウンターを磨いた」(六井)と手応えを感じている。

2冠獲得がかかるリング。増田は「負けられない」、六井も「研究されていると思う」とプレッシャーがあるが、それも覚悟の上。「追われる立場になるのは分かっていたので」と六井。開志学園の野村孝志顧問(42)は「2人とも選抜から技術的に伸びている」と重圧をはねのける力はつけてきた。

2人は3月の全国選抜特別大会では全国初出場で初制覇。決勝で六井は薦田拓武(北海道・札幌工3年)に5-0、増田は荻野照平(同2年)に4-1とともに大差の判定勝ちをした。六井はノーモーションで繰り出す左ストレート、増田は連打と、持ち味を発揮しての結果だった。

ただ、「インターハイ(高校総体)は難しい試合になる」と増田言う。選抜はコロナウイルス感染拡大の影響で関東、東海、九州地区の代表が不参加となり、特別大会扱いだった。いずれも強豪が多い地区。満を持して大会に乗り込むライバルが自分たちをターゲットにするのは目に見えている。

だからこそ気の緩みはなかった。増田は放課後にジム通いで筋力アップを図ってきた。六井は相手が左を警戒して距離を詰めに来た時の対策に時間を割いた。厳しい試合を制しての2冠獲得は王者の証明になる。「もちろん自信はある」。2人は力強く声をそろえた。【斎藤慎一郎】

<開志学園・全国高校総体出場者>

◆ライトフライ級・高木丈(3年)「選抜は緊張しすぎて初戦敗退だった。ガードをしてすぐに打ち返す練習をしてきた。その成果を出したい」。

◆バンタム級・井上偉心(3年)「選抜のフライ級から1つ階級を上げてパンチ力が増した。選抜は1つも勝てなかったが落ち着いて距離を取れば勝てる」。

◆ライト級・坂井太陽(3年)「自分にとっては最初で最後の全国大会。絶対に優勝して終えたい。自分のボクシングができれば、自信はある」。