味の素冷凍食品は25日、都内で記者会見を開き、新ブランド「For ATHLETE」の立ち上げと、東京オリンピック(五輪)の日本代表選手団にも提供された「エナジーギョーザ」「コンディショニングギョーザ」の一般販売を始めることを発表した。

東京オリンピック(五輪)の柔道で、日本史上初の「兄妹同日金メダル」を達成した男子66キロ級の阿部一二三(24=パーク24)と阿部詩(21=日体大)も同社のギョーザに力をもらっていた。

「For ATHLETE」エナジーギョーザは、豚肉や鶏肉を使った中具が厚さ0・95ミリの米粉の皮で包まれており、炭水化物やビタミンB1を多く摂取可能。試合前に適しており、前日計量後の回復食として今大会、兄の一二三はエナジーギョーザ5個を食べて金メダルをつかんだ。

「For ATHLETE」コンディショニングギョーザは大豆や鶏肉、7種の野菜(キャベツ、ニラ、ニンジン、タマネギ、カボチャ、ショウガ、ホウレンソウ)が入っており、こちらは0・65ミリの小麦粉の皮だ。タンパク質と野菜を、脂質を取り過ぎずチャージできる。妹の詩は、同じく前日計量後にコンディショニングギョーザ3個を。世界一となり、兄の結果を待ち、ともに歓喜した。

詩は、試合後や調整期にタンパク質やビタミン類(A、C、E)を多く取りたい人のためのコンディショニングギョーザを好んでおり「好きですね。モチモチ感、タレ(味)付きで中身がおいしい。野菜たっぷりで栄養が取れて分量も調節しやすい。対人競技なのでニンニクが入っていないのもいい。やさしい」と自宅でも自ら、よく焼いているという。

一二三はエナジーギョーザが好きで「中身のジューシーさ、パリパリ感、お肉たっぷり。がっつり食べたい時にいいですね。試合前は食べるイメージがなかったけど、皮で炭水化物も取れますし、練習前、間食や捕食としても個数を調整して食べられる」と今では欠かせなくなっている。

このギョーザ2種は、味の素グループが03年から取り組むトップアスリート強化支援事業「ビクトリープロジェクト(VP)」で得た知見を生かし、選手の声を受けて開発された。VPの栗原秀文シニアディレクターは阿部兄妹を昨年11月ごろから本格的にサポートしており、その直後に行われた丸山城志郎とのワンマッチ(東京五輪代表決定戦)でも支援。24分間に及んだ死闘を前に、計量後の回復食でエナジーギョーザ3個を頬張っていた。大会の1年延期が、世界最強の兄妹にとっては良い方向の結果となった。

2人以外にも、味の素は大会を通じて日本オリンピック委員会(JOC)と協力し、選手村の隣で「G-Road Station」という栄養サポート拠点を運営した。大半の選手がエナジーギョーザとコンディショニングギョーザを力の源にしており、栗原氏は「来場された選手は必ず3個か6個を頼んでくれました。目視にはなりますが、餃子を取らずにスルーしている選手はいなかったと思います。『毎日、食べてもいい』『50個でも食べられる』という選手もいましたし、来場する動機にもなっていたと言っていいくらい」盛況だったという。

このエナジーギョーザとコンディショニングギョーザは、25日から公式オンラインストアで販売が始まった。

(https://shop.ffa.ajinomoto.com/)

五輪期間中、金メダル27個を含む歴代最多の58個を積み上げた日本選手団の「勝ち飯」が気軽に手に入れられるようになった。【木下淳】