攻め続けるチームの象徴になる。10月に開幕するバスケットボール女子のWリーグに、プレステージ・インターナショナル アランマーレ(秋田)が東北勢で初めて参入する。21-22シーズンから主将を務める平松飛鳥(27=東京医療保健大)が、日刊スポーツのインタビューに応じ、初年度の意気込みを語った。20年5月の入団前は同リーグの東京羽田に所属。持ち味のドライブや学生時代から培った経験を生かし、勝利への旗振り役になる。【取材・構成 相沢孔志】

バスケットボール女子日本代表が東京オリンピック(五輪)で銀メダルを獲得し、注目を浴びるWリーグ。歴史的快挙を成し遂げた今年、アランマーレが04年のトヨタ紡織以来となるWリーグへの新規参入を果たす。平松は20年5月、当時社会人地域リーグだった秋田に移籍し「参入を目指しているという話は聞いていたので、正式に決まった時はすごくうれしかった。周りの反響もあったので、注目される側で見られているのはすごく緊張感が高まった」。新天地に来て2年目で、自身2度目のWリーグ挑戦となった。

平松 (前回のリーグから)1年のブランクを埋められるように、と思っている。チームのスローガンは「Challenge!」を掲げているので、チームとしても個人としても、チャレンジの年になると思う。

学生時代から全国のトップレベルを経験してきた。高校は、激戦区東京の強豪のひとつ明星学園でプレーし、3年時に全国高校総体8強。卒業後は、3度の全日本大学選手権優勝を誇る東京医療保健大に進学。4年時には同選手権準優勝に輝いた。いずれも最終学年は主将を務めており、「試合や練習以外でもコミュニケーションがすごく大事だと思うので、そういうところは生きている」。今季からは再びチームを率先して引っ張る立場になり「もっとチーム全体を見ないといけない。まだ全然できていないが、全体を見た上で自分が厳しく言うところは厳しく言うことを今シーズンの目標にしていけたら」と心を鬼にするつもりだ。

今夏は、先輩の雄姿に心が躍った。高校時代の1学年上で、東京羽田でともに戦った本橋菜子(27=東京羽田)が、日本代表に選出され、男女通じて初のメダル獲得に大きく貢献した。そして、Wリーグ所属の選手で構成されていた日本代表について「レベルが高いことと、この人たちと対戦するということにワクワク感もある」と、モチベーションをさらに高めている。

五輪代表の戦いからは、大きなヒントを得た。大柄な海外の選手に立ち向かう姿を自分たちに重ね合わせ「Wリーグの中では、ほかのチームよりも経験やスキルがまだまだ浅い。身長も低いと思うので、今回の日本代表のバスケットは自分たちの目標になると思う。もちろん、小嶋さん(裕二三ヘッドコーチ)のバスケがベースになりつつ、運動量やチームワークが重要になるので、そこを意識してやっていけたら」と、自分たちの戦いをイメージしている。

初年度の目標は「攻め続ける」に決まった。勝利や順位の結果を求めることも大事とした上で「今シーズンは練習したことをどれだけ試合で出せるかだと思う。判断や評価はしづらいが、自分たちのバスケットができたか、できなかったかを考えてやっていきたい」と強調した。本拠地秋田は、B1秋田ノーザンハピネッツや能代工(現能代科学技術)などの活躍により、バスケットボールの文化が深く根づいている。

平松 多くの方がバスケに対して、ある程度の興味や知識はあると思う。そういう中で応援されるチーム、応援される選手になるというのはすごく光栄なこと。私たちを応援してくれる人たちが増えるような振る舞いやプレーをしていきたい。

リーグは、10月12日に開幕し、アランマーレは第2週の同23、24日に秋田・増田体育館でアイシンウィングスとの開幕カードに臨む。戦う姿勢を貫き、収穫の1年にする。

◆平松飛鳥(ひらまつ・あすか)1994年(平6)5月23日生まれ、東京・東村山市出身。小学3年で競技を始める。明星学園-東京医療保健大。17年に東京羽田へ入団。20年4月に退団し、同5月にアランマーレへ移籍。今季から主将。162センチ、ポジションはポイントガード。コートネームは「ウィン」。