東京オリンピック(五輪)日本代表の島村智博(37=警視庁)が現役引退を表明した。

五輪後、初の実戦となる日本一決定戦に出場。準々決勝で、同じく五輪代表の徳南堅太(デロイトトーマツ)に11-15で敗れた後、報道陣に対し「自分のフェンシング人生は今日で終えて、後進の指導に当たっていきたいと思います」と涙を流しながら報告した。

東京大会には日本フェンシング史上最年長の37歳で出場。個人は34位、団体は初戦敗退だった。

かつて全日本選手権で4連覇した第一人者。念願の五輪出場を果たし「次のパリ(24年大会)に向けて燃えるものがあるか、となった時、五輪に対しての気持ちが出てこなかったというのが理由です。決めたのは直近。本当に、人に恵まれていたなと思いますね。警視庁に呼んでくれたこともそうですし、人に生かされて、この年までやってこられた」と、また涙した。

今後は警視庁に所属しながらコーチに転身する。「人生を懸けて目指してきた舞台ですし、誇りですし、周りの方のおかげでたどり着けた最高の舞台でした」という東京五輪の経験を還元すべく「視点、個性、知識、経験を伝えながら指導者として五輪を目指したいなと思います」と第2の目標を口にした。

現役最終戦は盟友の徳南と。「久しぶりの国内戦で五輪とは違う緊張感。最後の試合は受け身になりすぎてしまったけど、いま持っている力は出し切れたと思うので、やり残しはないですね」と、すがすがしくマスクを脱ぎ、剣を置いた。【木下淳】