オリンピック(五輪)個人総合2連覇の内村航平(32=ジョイカル)が種目別の鉄棒の予選に登場し、14・300点を記録した。

冒頭のH難度「ブレトシュナイダー」からの3連続の離れ技を何とか決めた。注目だったのは、これまでの構成にあったその後の「シュタルダー1回半ひねり」を避けた事。東京五輪で落下して予選落ちにつながった技を、回避する形になった。

「僕は(外す)必要ないかなと思ったんですけど、佐藤(コーチ)と話してて…」と切り出したのは演技後の取材。10日ほど前に話し合った際に進言されたという。「抜いた方が良いです。修正してきても、演技のトラウマは拭えない。大きな舞台は何がおこるか分からない、予選を通過することを大事にしたほうがいい」。16年のプロ転向後から二人三脚で戦ってきた盟友のひと言で判断した。

「指示通りに従いやって。優秀なコーチだなと思いましたね」。コンディションは万全ではなく、冒頭の離れ技も不安定な演技で、何とか最後まで通し切れた。その提言があったからこそだった。

佐藤コーチについて、「これは笑い話かどうか」としながら、現在は帯状疱疹(ほうしん)に苦しんでいるとも明かした。東京五輪の結果に重い責任を感じていることも知っている。「彼も五輪が終わり、すごくプレッシャーを感じていたと思う。それくらい、僕のために一生懸命やってくれているので、本当に大変な思いをしてついてくれているんだなと思うと、それはちゃんと演技で返していかないといけないという思いが強かった」と言葉に力を込めた。

種目別鉄棒の決勝は24日に行われる。