日本(世界ランク10位)のプロップ稲垣啓太(31=埼玉パナソニックワイルドナイツ)が、9点差の惜敗を「全然いいゲームじゃない」と振り返った。オーストラリア(同3位)に対して後半は一時4点差に迫りながら、最終盤に突き放された。15、19年とW杯2大会連続出場中の稲垣は厳しい表情で試合を総括した。

「負けたので、全然いいゲームじゃない。選手全員が思っている、負けたことをしっかりと受け止めている。勝つために準備してきたので、いいゲームではなかったと思います」

敗因に挙げたのは反則の多さだった。

「今日は反則が17個(公式記録ではPK13個、FK1個)。これは勝てないですよね。最低でも1桁に抑えないと難しいと思います。シンプルな問題なんですけれど、ただそのシンプルな問題がゆえに負けている」

ジョセフ・ヘッドコーチも感じている点は同じだ。

「規律の部分。17回のペナルティーを出すと(19年W杯優勝の)南アフリカに勝っていたチーム(オーストラリア)には勝てない。ミスが起きた時間、タイミングも結果に影響した。チームとしてはこれから一緒に練習することで成長していく。改善していきたい」

今後はアイルランド(11月6日)、ポルトガル(同13日)、スコットランド(同20日)と戦う欧州遠征に向かう。善戦に満足せず、強豪からの白星を目指す。【松本航】

○…試合後、両チームの多くの選手がジャージー交換し、互いの健闘をたたえ合った。後半から途中出場した日本の“秘密兵器”こと、183センチ、124キロのNO8テビタ・タタフ(25=東京サントリーサンゴリアス)は、オーストラリアの“重戦車”こと、プロップのタニエラ・トゥポウ(レッズ)と交換した。

175センチ、135キロのトンガ出身の怪力が、桜ジャージーを着るとピチピチの「チビT」になってしまったが、両者とも笑顔で抱き合い好勝負をたたえた。