【グルノーブル(フランス)21日=松本愛香通信員】フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦フランス杯の女子で銅メダルに輝いた樋口新葉(20=明大)が、一夜明けて現地記者団の取材に応じた。

フリーではトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を着氷させて、自己ベストの141・04点。演技直後に力強い雄たけびを上げる姿が印象的だった。あらためて振り返っての感想は?

4年前に届かなかった五輪切符への思いは?

悔しい経験を生かせる部分、4年前と違う意外な心境とは?

ジュニア時代から脚光を浴び続けた中での苦しかった時間とは?

会場だけで語った一問一答の一部は以下の通り。

-素晴らしい演技で大会をしめくくった。ふりかえって

「フリーはまあまあな演技ができましたが、細かいミスがあったりとか、いろいろマイナスをとられた部分がありました。まだまだ改善点があったで、それがすごくよかったです。あとはSPが(トリプルアクセルが)シングルになって、そこが、意地でもダブルになるように練習していきたいと思います」

-フリーでの課題は

「自分の感覚的にはミスなくできた気持ちでしたが、動画とかを何回もみて、この振りが短いなとか、スピンの回転数とか、そういう小さいことがすごく気になったので、周りの人からはすごく良かったと言われますが、やはり小さいところで、点数が上がっていくと思うので、もうちょっとよくなるといいなと思います」

-4年前に届かなかった五輪には近づきましたか

「前の時よりも全然、まったく逆で、全然近づかない感じがあるので、それがすごく危機感みたいなのがあって。それがモチベーションになってます。自分の完成度的にも、今回の試合でやっとフリーが見た目は大きなミスなく終えられて、少しほっとしてますが、これまでいろんな選手が何回もミスなくしていて、自分はうまくはまらない部分があり、それがすごく焦りにつながっています」

-焦りはいまもあるか

「そうですね。カナダとかオーストリアの時よりは、今回やっとフリーができたのでよかったですが、まだまだ。145点出すのが自分の目標だったので、そこは改善するところが多くて、次が全日本なので、どういう練習をしたらいいのかなとずっと考えています」

-4年前は五輪が近づいていると思って滑っていたのですか

「五輪に行くって自信を持って大会に臨んでいたので、すごく、今よりも、すこし余裕があったというか。今は余裕がないです」。

-意外な感じがします

「でも、すごく、そういう気持ちで練習もできるっていうのが、すごくいいなって思うし、昨日みたいな演技をして、それでもまだ点数をのばせるということが見つかったので、それもすごくいいなって思い、いい試合になりました」

-4年前は全日本までに疲れ切ってしまったと。今回は力を配分したいと話していたが、経験をいかしてできている手応えはありますか

「4年前にそういうふうになって、充電切れにみたいなことになってしまって、その次の年か、またその次は、けがとかあって、自分の本領が発揮できなかったので。やっと今年はまったくけががなく、アクセルにも挑戦して、自分がいまできることを全部やったなかで、全日本にどのくらいの練習をして、どんくらいのペースで臨むか。考えながらやっているので、それがけがをしない要因にもなっている。焦ってはいますが、落ち着いて、予定通りにこなしていく気持ちになっています」

-無理しないために気をつけていることは

「トレーニングはすごく、けがしそうなところを重点的にケアしたりとか、トレーニングしてます。やはり、けがを全くしていないといっても、けがしそうな状態でずっと、筋肉が固まりすぎたりはあるので、その部分を自分で毎日気づいて、どういう風にケアをしたりとか考えながら過ごしています」

-14歳、中2でジュニアチャンピオンになって天才少女と呼ばれた。これまで一番苦しかった、もがいた時期は

「どのシーズンも苦しかったですが、やはりジュニアの頃はすごく順調にいっていた感じがあり、前回の五輪シーズンの後とかは、けがもあってGPシリーズを棄権したり、試合を棄権する考えがなかったので、それはすごくつらくて。痛い感覚がずっとあるのがしんどくて、練習もできなくて、何もできないので、休むしかなくて、もちろんけがを治すために休むことも大事でしたが、みんなと差がつく感覚があるのがつらかったです」