ラグビーの全国大学選手権は26日に準々決勝が行われる。関西王者の京都産業大は、日大(関東リーグ戦2位)と対戦(埼玉・熊谷)。初の大学日本一を目指す戦いが始まる。

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23年ぶりに関西リーグを制した京産大を支える縁の下の力持ちがいる。選手兼任でフランカーの原田浩太郎主務(4年=鹿児島実)と古市藍那副務(4年=大阪ビジネスフロンティア高)らは、コロナ禍でも選手が全力を出し切れるようサポートを続ける。マネジャーは毎日、コンタクトバッグやスクラムマシンなど選手が触れるものを消毒。給水用やプロテイン摂取用のボトルは、飲み口が触れないよう細心の注意を払って感染予防をしている。

古市副務は「リーグ戦中にコロナの陽性者が出て、1試合でも不戦敗になれば優勝は難しくなる。すごく不安でした」と言う。それでも23年ぶりに関西王者となった時間を共有し「自分では絶対に見ることができなかった景色をみんなが見せてくれた。選手には大感謝です」と振り返った。

原田主務は試合会場の調整や、B~Cチームの試合を組む役割も任されている。リーグ戦中は選手の体調管理表に、メンバー表の提出もある。選手兼任のため多忙の日々を過ごす同主務は「コロナの対応は本当に大変でした。裏側の仕事でも、チームが結果を出せば心からうれしかった。1日でも長く、みんなにラグビーをさせてあげたい。大学選手権は決勝まで戦いたいです」と話した。

まさに“ONE TEAM”でつかんだ関西制覇。その先に、初の大学日本一を見据える。

 

◆京産大ラグビー部 1964年(昭39)に同好会として発足。関西3部リーグに所属した73年に、天理大コーチだった大西健監督が就任。3季目の74年に1部昇格を決める。関西リーグは90年に初制覇し優勝5回。全国大学選手権は計7度進出した4強が最高成績。19年度に退任するまで大西監督は、シーズン中に身銭を切って毎日選手にちゃんこ鍋を食べさせる「栄養合宿」を伝統とした。プロップ田倉、SO広瀬、WTB大畑、CTB吉田、SH田中ら多くの日本代表を輩出。大学日本一とともに「社会で通用する人材を育成する」(広瀬監督)ことを目指す。