6度目出場の松山聖陵が、最多15度の花園優勝を誇る秋田工を接戦の末に撃破した。ノーサイドの瞬間、フィフティーンは抱き合って喜びを爆発させた。

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一進一退の展開。風下だった前半戦を耐えしのんだ松山聖陵が後半に攻勢に出た。風を利用したキックで前進し、鍛え抜いたスクラムで押し込んだ。

後半7分にドライビングモールからのトライで逆転。そして12-12で迎えた後半17分、ラックから飛び出したプロップ高田凱斗(3年)が3人をなぎ倒すように豪快なトライを決めた。これが決勝点になった。

高田は2年夏まで強豪の硬式野球部の一塁手でプレーしていた。野球ボールが2重に見える原因不明の症状が治らず、誘いを受けたラグビー部に転部。もともと身長182センチと体格が良かったが、熱心にウエートトレに取り組み、体重も20キロ近く増量。今では112キロに達した。

「ラグビーはボールのキャッチが難しく、ルールも分からなかった。フィジカルを生かして、1年間、モールを意識して練習してきた。今日もハードにいこうという話をしていた。少しでも長く試合をしたい。ベスト8が目標です」と表情をほころばせた。

新型コロナが落ち着き始めた今秋から、東福岡や石見智翠館など全国的強豪の胸を借り、敗れはしたがトップレベルを肌で感じた。渡辺悠太監督(33)は「ディフェンスにこだわってやってきた」。練習では守備13人に対して25人の攻撃陣を配置し、わざと空けたスペースをどう守りにいくかなど、戦術的、メンタル的にも厳しい環境で鍛錬を重ねた。

5大会前に16強の快進撃を見せた新鋭でもある。少しずつ存在感を見せだした四国勢の中でも安定した成績を残すが、まだシード勢との差はあるとみられている。

次は30日のBシード国学院栃木戦。現在地を知る試合になる。渡辺監督は「キャプテンの米井を筆頭によくやった。秋田工さんを相手にFWで点を取れたのは自信になる。僕たちは、とんでもない目標の『8強』を掲げている。でも口にしていかないと。四国も変わってきている。歴史を変えていきたい」と熱い口ぶりだった。【柏原誠】

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